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サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番が好きなんである。サンサン言っているのが気持ちよくって…ではなくて、曲が。ロマン派のヴァイオリン協奏曲の中では、屈指のお気に入り。3大ヴァイオリン協奏曲と言うと、ブラームスだとか、チャイコフスキーだとか、ベートーヴェンだとかいうんだけれども、そんなものはどうでもいい。もちろん、それぞれに良い曲なんだけれども、ロマン派期のヴァイオリン協奏曲と言えば個人的には、この曲とシベリウスなのだ。ロマン派の神髄には全く触れてこないけれども、ヴァイオリンを堪能するのに最適な曲だと思う。

じゃぁ、どの演奏がいいのか。まずは、フランチェスカッティ。天真爛漫、胸が空くような美音、この曲の魅力を一杯一杯に歌い上げていく様、そりゃ、見事。オーマンディの豪華な伴奏もよく合っているんだけど、最大の欠点がモノラル録音ってこと。

と言うわけでもう少し後世の録音を…。と言うことで、お次は、パールマン。バックは、バレンボイムとパリ管弦楽団。最初に聴いたのがこの録音。何度も聴いた。名演であるには違いないんだけど、もっと豊麗な響きの演奏を探したくなる。で、シャハム。この人の演奏も素敵だ。だけど、今度は、パールマンにあった何かが欠けてしまったような若干の物足りなさがある。ではでは、ミルシテイン、グリュミオー…うーん…それぞれに良いんだけどなぁ。

それと、最近の録音が欲しい。良い若手のヴァイオリニストたくさんいるし。カプソンなんかが録音してくれればいいんだけど…。

と思っていたら、出た。この人は、美音が売りだから、ピッタリのはず。バックは、ブランギエ指揮するフランス放送フィルハーモニー管弦楽団。ブランギエ?だれ?でも、カプソンだから買う。迷わず買う。カップリングには、弟カプソンの弾くチェロ協奏曲第1番。

やっぱり、良い。1楽章から良い。繊細に、華麗に奏でていく。そして、2楽章の美しさ。ホントに、もう、ね。美音ゴリ押し(笑)。幻惑されているうちに、3楽章へ。高い技術力にも脱帽。相も変わらず、上手い。バックも頑張っている。若手の指揮者だそうで、今後が楽しみ。

レーベルはERATO。EMI&VirginがWarner傘下になったこともあって、VirginのアーティストだったカプソンはERATOのアーティストになったのか?それとEMIのロゴは廃止されたみたいだけど、ERATOのロゴはそのまま。以前からWarnerだったから大事にされているのか?

近頃のレーベルの統廃合、グループ関係はよくわからない…。大レーベルの時代は終わったんだろうなぁ…。

 

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タワーレコードの店舗取り置きをネットで予約した。んで、取りに行ったんだけど、まず店員さん「アーティストは誰ですか?」って訊くんだよなぁ。以前も、こんなことがあったけど。しかし、今回の店員さんは、戸惑わなかった。「えっと…アマンディーヌ・ベイエとルノー・カプソン…」と答えると、すかさず「複数枚のご注文ですね。お名前よろしいですか?」。うん、適切な対応だ(笑)。つか、注文番号は何のためにあるのだ。

さて、と言うわけで、ベイエ(ベイエールとも言う)の新譜を入手。記念イヤーのコレッリの合奏協奏曲集作品6。ベイエの主宰するアンサンブル・リ・インコニーティとの共演。レーベルは、ZIG-ZAG TERRITOIRES。相も変わらず、強気の価格設定。でも買うのだ。買わねばならぬのだ。

コレッリの合奏協奏曲集と言えば、何となく、もっさりとしていて、眠たくなるようなイメージだが、ベイエの演奏は透明感のある闊達な演奏だ。良い演奏に出会えれば、やはりこの曲は大変な名作だと判る。これまでも全曲でなければお気に入りの演奏があったのだけれども、全曲盤で良いな、と思ったのは、これが初。と言うわけで、今後、この曲が聴きたくなったら、この演奏で楽しむことになると思う。個人的スタンダード。

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マーク・パドモアの新譜を買う。このテノール歌手は、古楽系とドイツ・リートを得意としているが、ありがたいことに近代イギリス歌曲も十八番にしている。今回の新譜も近代イギリス歌曲を中心にしたプログラム。以下の通り。

ヴォーン・ウィリアムズ:『ウェンロックの崖で』
ヴォーン・ウィリアムズ:『ブレイクの詩による10の歌』
ドーヴ:ジ・エンド
ウォーロック:『タイシャクシギ』

共演は、ジャクリーヌ・シェーヴ指揮ブリテン・シンフォニエッタ。彼らとは、以前、フィンジの『降誕祭』をリリースして好評を博している。レーベルは共に、ハルモニア・ムンディ・フランス。センスのあるジャケットも好印象。

さて、今回のCD、ほかも魅力的なんだが、メインは何と言っても、『ウェンロックの崖で』だろう。ヴォーン・ウィリアムズの歌曲の中でも、最も演奏頻度が高い名曲だ。パドモアも得意としているらしく、これが2度目の録音となる。

イギリスの近代作曲家の多くが、曲を付けたハウスマンの詩集『シュロプッシャーの若者』の詩によるもの。たぶん、ヴォーン・ウィリアムズのこの曲がこの詩集による最初の歌曲だと思う。淡々とした中に、仄かに混ざる不安や哀愁がとても綺麗な音楽だ。

パドモアの歌唱は、感情移入をし過ぎることなく、鮮明にヴォーン・ウィリアムズの歌心を描き出していく。その無駄な力の抜けた響きは、曲の持っている流れに身を任せるように、次の曲、そのまた次の曲へと進んでいく。パドモアの歌を聴いていると、この曲の持っている本来の美しさとか、ハウスマンの描いた「若者」の様々な感情とかが、幻想的な雰囲気をもって、今この空間を満たしていくようだ。これはもう流石としか。

ほかの曲も、良いと思う。ちなみに、ドーヴは、現代の作曲家。それと、『タイシャクシギ』は、ウォーロックの歌曲の中でも、有名な部類だと思う。近代イギリスの歌曲なので、ドイツ・リートのようなドラマチックな展開やメロディーはないけれども、静謐な世界を楽しみたい方には、お勧めできる一枚。パドモアのような売れっ子がこういうレパートリーを録音してくれると、以前からのファンとしては、一気にメジャーに駆け上がった気がして、何となく嬉しい(笑)。

 

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先日記事にしたYoutubeのこの演奏、CDで出てた…。CDにして欲しいなぁ、と書いたんだけれども、何と言うこともない。単なるサーチ不足だったと言うこと。タワーレコードで見つけた時は、飛びつきそうになった(笑)。もちろん、購入。幸い安くなっていた。

CDのタイトルは『ルイ15世のコンセール・スピリチュエル』。ジョルディ・サヴァールとコンセール・デ・ナシオンの演奏。このコンビは、同じルイ15世をテーマに『ルイ15世のオーケストラ』と言うタイトルでラモーの管弦楽曲集を出しているけれども、『ルイ15世のコンセール・スピリチュエル』はオムニバス。コレッリとテレマンとラモーの曲を収録している。イタリアとドイツとフランスのバロック期の作曲家を1枚に収めているってのは、珍しい。いくら地域色の薄いバロック期の音楽とは言え、この3カ国は、それぞれにバロック期の音楽大国であって、個々の潮流は全く別物。

それを単なる寄せ集め名曲集ではなく、一つにさらりと組み立てるのは案外難しいのではないだろうか。しかし、そこは企画ものが得意のサヴァール品質。安心して、違和感なく、楽しめる。

さて、サヴァールが2枚のCDを出したルイ15世、実は、先王ルイ14世ほど音楽に熱心ではなかったと言う。実質、ルイ15世の頃にはヴェルサイユ楽派と言われるフランス古典派の全盛期は黄金期を過ぎつつあったと言っていいかもしれない。しかし、この時代、現代のコンサートの原型となるコンサートが、パリの街で開かれていた。それが、コンセール・スピリチュエルである。当時、王侯貴族と教会のためのものだった音楽を一般市民に解放したのだ。1725年に発足したこの楽団による演奏会は、テュイルリー宮殿で開催され、1778年にはモーツァルトの交響曲第31番『パリ』を初演するなど、音楽史に重要な足跡を残すが、1791年にフランス革命の余波を受けて姿を消すことになる。

では、コンセール・スピリチュエルではどんな音楽が演奏されていたのだろうか。音楽史に興味のある人なら、その雰囲気に浸ってみたいと思うだろう。その欲求を満たすのが、このCDってわけだ。演目は、以下の通り。

コレッリ:合奏協奏曲 作品6-4
テレマン:組曲ニ長調TWV55:D6
テレマン:フラウト・ドルチェとヴィオラ・ダ・ガンバ二重奏曲TWV52:a1
テレマン:組曲ホ短調TWV55:e1(ターフェルムジークより)
ラモー:『優雅なインド』組曲

華麗で賑やかな音楽が多く、演奏も闊達で聴く者を退屈させない。ヴァイオリンにオノフリとミナージが入っているので、イル・ジャルディーノ・アルモニコ風の刺激的なスパイスが、入っているのが良いのかもしれない。youtubeでも聴けるようにコレッリでのオノフリとミナジのヴァイオリンの掛け合いはなかなか聴きもの。なんか、楽しい。バロックで騒いで、すっきりしたいときにはピッタリのCDだ。

 

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今週末は、Last Night of The PROMS。PROMSと言えば、Last Nightなんだけど、実際にはそれまでに数々のコンサートが行われているわけで、祭りの終わりを「待ってました!」と言うのもなんだか気が引けるんだけれども、やっぱ楽しい。今年は、オールソップが指揮台に上ると言うこと。女性初かな?それから、お祭り男、ナイジェル・ケネディが出演する。演目を確認すると、「揚げひばり」をやるらしい。羨ましすぎて、悶絶しそう。それと、「ロンドン・デリーの歌」にも出るのかな。これは来日公演で聴いた。すっごく良かったので、今回も期待できるはず。一昨年行ったPROMSの雰囲気を思い出しながら、いつか地上波で放送されるのを待ちたい(BSは見られないのだ)。

さて、そんなPROMS真っ盛りの最近、手元に注文してあった、とある1枚のCDが届いた。タイトルは、An Evening at The PROMS。夜じゃなくて、夕べ。「プロムスの夕べ」。ぷぷっ…ばったもの?Last Night振れない指揮者が、PROMSの名を騙ってCD作ったんかい?なんて、馬鹿にしちゃいけない。指揮者は、サー・マルコム・サージェント卿。Last Nightの伝説的な人気指揮者。オーケストラは、当然、BBC交響楽団。

ただし、Last Nightのライヴ録音ではなくって、スタジオ録音。ええ、スタジオ録音、なのに、だ。トラック1 Applause。そして、最後の曲の威風堂々第1番もコーダに被せるように拍手がわき起こる。何というか、安っぽい演出…時代を感じずにはいられない。

曲目は、サリヴァンの『舞踏会』序曲、チャイコフスキーのオペラ『エフゲニー・オネーギン』より「タチアナの手紙」、ドヴォルザークのスラヴ舞曲第10番、ホルストの組曲『ベニ・モラ』全曲、シャブリエのオペレッタ『いやいやながらの王様』より「ポーランドの祭り」、チャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレ(シュミット編曲)、リトルフの交響的協奏曲第4番よりスケルツォ、エルガーの威風堂々第1番。

昔のLast Nightの知識は、多くは持ち合わせていないんだけど、定番曲は、威風堂々第1番くらいなもので、あとは、何となくやりそう、って感じの曲目が並んでいる。そういう意味で、Last Nightそのものではなく、Eveningとしたのかもしれない。

演奏は無難なもの。奇も衒わないし、アグレッシブにも攻めてこない。特段、Last Nightの熱狂を感じることもない。安全運転の名曲集…いや、珍しい曲が多いか。良くも悪くも安心して聴いていられる。聴きどころはどれかな?『ベニ・モラ』は、ホルストの東洋趣向が色濃く出た作品で、異国情緒を湛えながら、なかなかカッコいいメロディを奏でてくれる。十八番のサリヴァンも、軽いノリの楽しい曲だ。リトルフと言う作曲家ははじめて聴いた。今回の録音では、チェルカスキーが参加している。

録音は、『ベニ・モラ』が1956年で、それ以外が1959年。ステレオ録音。HMV音源。GuildレーベルのHISTORICALシリーズから復刻リリースされたものを入手した。ステレオだけれども、1950年代なので、さほどの高音質を期待してはいけないが、年代を考えれば、悪いと言うわけでもないと思う。昨今、古いライヴ音源のリリースが、数多く出てきているが、それらは大抵、1960年代でもモノラルなので、比較すれば、不満は言えない。

それにしても、ジャケットのサージェント卿の写真、絵に描いたような「古き良き英国紳士」だなぁ(笑)。



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9月になった。秋だ!バロックを聴こう。何の根拠もないけど、秋ってバロックぽいよなぁ。

と言うわけで、ロマヌス・ヴァイヒラインと言う作曲家の作品を聴いている。何者か。ウィーンが音楽の都になるずっと前の1652年にオーストリアのリンツで生まれている。コレッリが1653年生まれだから、同時代の作曲家と言うことになる。しかし、当時の音楽先進国、イタリアで活躍したコレッリとは、安易に比較はできない。ヴァイヒラインに近い音楽を作っていたのは、ビーバーやシュメルツァーと言ったドイツ系の中期バロック音楽の作曲家。実際、ヴァイヒラインはザルツブルクで音楽活動をしており、ビーバーと何らかの繋がりがあったと推測されている。コレッリの「コ」の字もない異世界の音楽だ。良く知られているようなバロックの音楽ではない。

聴いている曲は、インスブルックで1695年に出版された『音楽による祝宴』(Encaenia Musices)。副題に「様々な楽器のための5声のソナタ12編」となっている。前にも何度か書いていることだけれども、この当時のソナタは、ソナタ形式云々関係なく、ただ単に器楽曲と言う意味。この作品も、弦楽合奏とオルガンによる曲集である。ただし、第1、5、12番には、一対のトランペットが入り、華々しく盛り上げてくれる。

曲そのものは、どことなくビーバーの奔放さを受け継いでいるようなんだけど、メロディはビーバーほど豪快な感じではない。歌心は大切に、丁寧に響くように出来ているようだ。はじけ散るような強奏で始まり、華麗なトランペットの響きと交わる第1番、憂鬱に浮き沈みするような音楽の中、ヴァイオリンがせわしなく動き回る第3番のバッサガリアの魅力、第7番のアレグロの気持ちのいいヴァイオリンの掛け合いも良い…その他の曲も楽しい音楽あり、ほの暗く物悲しい音楽ありで聴き飽きない。そして何と言っても、後世のようなルールに縛られない自由な音楽の流れが、何とも心地よい。

演奏は、グナール・レツボールとアルス・アンティクヮ・アウストリア。オーストリアのバロック音楽と言えば、この人たちだよなぁ。相も変わらず、激しくやっちゃってくれている(笑)。守りに入らない。世界初録音だろうがなんだろうが、己を貫く。尖がってこそバロックなのか?

レーベルはPan Classics。お高い。しかも、2枚組。ダブルお高い。レツボールの解説付き。ビーバーからもう一歩入ってみたい人にお薦め。ビーバー聴いたことなければ、まずはそちらから(笑)。

さて、次はどんなバロックを聴こうか。秋はまだはじまったばかりだ…いや?今日はまだまだ暑かった。夏じゃないか…。

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デトロイト市が連邦破産法9条の適用を申請したのは、先月の17日のこと。方々で話題になっていると思うんだけど、これだけ大きな自治体が破綻するとは…びっくりだ。

で、クラヲタが真っ先に心配するのが、デトロイト交響楽団。当然である。アメリカのオーケストラは、ヨーロッパの多くのオーケストラとは違い政府等の公的な補助金に頼って運営しているわけではなく、企業や個人のスポンサー収入をベースに運営を行っていると言う。しかし、市が破綻するような状況下で、そうした民間のスポンサーは集まるのだろうか。昨年、創設125周年を迎えたアメリカ屈指の老舗楽団の今後はどうなるのだろうか。

オーケストラの破産と言えば、(あ、いやデトロイト響は破産していないのだが(汗))、フィラデルフィア管弦楽団が思い出される。エッシェンバッハの頃は、ONDINEから盛んに銀色のギラギラしたジャケットのCDをリリースしていたので、調子が良かったのかと思いきや、この頃から低迷しはじめ、そこに不況の煽りを食らって、財政状況がひっ迫したと言う。とは言え、実は、破産申請をしなくても、まだ頑張れる状況であったらしい。現音楽監督であるネゼ=セガンの就任前に、過去の負債を綺麗にしておきたかったという目論見があっての破産だったと言う。いわば、前向きな破産。

デトロイト響は、今どういう状況なのかわからないけれども、もし破産するようなことがあると、フィラデルフィア管のような前向きな状況になれるのだろうか。そう言えば、デトロイト響と言えばアシモの指揮で演奏していた姿が思い出されるんだけれども、HONDAってスポンサーになっているんだろか。ってか、HONDAは自動車の街、デトロイト的には微妙な存在なような気がするんだけど、こう言うのって、どうなんでしょうね(笑)。

何はともあれ、こういう心配が杞憂に終わることを願わずにはいられない。なんつっても、今の音楽監督は、レナード・スラットキンだし!確か、GMが経営危機に陥って労働者がリストラの嵐にさらされたときは、スラットキンがデトロイト響を振って、慈善コンサートをやった記憶。さて、今回は?スラットキンならなんかやってくれそうな予感がする。せっかく、こう言う自国生まれのスター指揮者抱えているんだから、頑張ってもらわないと。

さて、そんなデトロイト交響楽団、こんなタイミングで新譜をリリース。スラットキンの指揮でコープランドの作品集。バレエ『ロデオ』、ダンス・パネル、エル・サロン・メヒコ、キューバ舞曲と言うプログラム。コープランドを聴くならばスタンダードな選曲だ。スラットキンは、セントルイス交響楽団時代にAngelやRCAに多くのコープランド作品を録音しており、高い評価を得ていた。今回収録された曲もどれも十八番と言っていい曲だ。レーベルは、相変わらずNAXOS。廉価盤レーベルとは言え、コンスタントにスラットキンのレベルの高い演奏をリリースしてくれるのは、素直に賞賛に値すると思う。仕事は、メジャー級。

演奏はやっぱり素晴らしい。複雑なリズムな曲も、スマートにピシャリと決まっている。ジャズの要素を上手く響かせる。カッコいい。『ロデオ』の「畜舎の夜想曲」のような幻想的な曲も、冷たい感じのする綺麗な音楽を聴かせてくれる。エル・サロン・メヒコも透明感のあるシティ派のスタイリッシュな演奏で素敵だ。スラットキン節、衰えないなぁ。これはコープランドを聴くにあたっての最初の1枚にお薦めしたい逸品。久しぶりにコープランドの名録音に出会えてちょっと嬉しい。願わくば、『アパラチアの春』や『ビリー・ザ・キッド』の再録も期待したい。

それにしても、NAXOS、ジャケット何とかしてほしいな…。デジタル音源普及の時代にせっかくCD買うんだからそこはもう少し力を入れてもいいのでは?

 

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このブログで何回か書いたけど、今年は、コレッリ御大、没後300年である。ワーグナー?ヴェルディ??盛り上がっているみたいだけど、ひねくれ者は、コレッリに全力を注ぐ。全力…が大した力ではないけれども(汗)。

さて、今回のCDは、『コレッリマニア』と題した1枚。マニアと言うと、コレッリの知られざる曲を詰め込んだCDのように見えるけどそうではない。と言うか、コレッリに知られざる曲は、ほぼない。なぜかと言うと、コレッリの残された作品は、作品1~6までしかないから。各作品に12曲が収められているから、全部で72曲。作品1から4までがトリオ・ソナタ、作品5がヴァイオリン・ソナタ、作品6が合奏協奏曲。もちろん、これだけしか作曲しなかったわけではない。出版されたのがこれだけと言う意味。他にコレッリが作曲したと思われる曲はたくさんあるのだけれども、確固とした証拠のあるものは少ないらしい。今世紀に入っても、新発見が続いているヴィヴァルディとは対照的だ。

ではでは、この「マニア」なCDはどんな内容なのか。プログラムは以下の通り。

コレッリ:合奏協奏曲 作品6 第4番
モッシ:合奏協奏曲 作品3 第3番
コレッリ:合奏協奏曲 作品6 第1番
ロカテッリ:合奏協奏曲 作品1 第4番
コレッリ:合奏協奏曲 作品6 第7番
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 RV.765
ジェミニアーニ:合奏協奏曲第12番『ラ・フォリア』(コレッリの作品5による)

要は、合奏協奏曲の創始者であるコレッリと、その影響を受けた作曲家たちの作品を並べて、比較しながらコレッリとその時代を楽しもうって企画…だと思う。サブタイトル、と言うか、HMVの紹介には、「コレッリを愛した作曲家たちによるコンチェルト・グロッソ」とある。もちろん、どの作曲家も男性だが、「愛した」…つっても、腐女子がスタンバイしても何も出てこない。

演奏者は、ヴァイオリニストのフロリアン・ドイターと彼の率いるアルモニ・ウニヴェルセル。もちろん古楽器の楽団。以前、シャコンヌなどを集めたCDを紹介したけれども、今回もなかなか面白い企画だ。ファースト・ヴァイオリンには、第15回ライプツィヒ国際バッハコンクールで2位に入賞した平崎真弓さんも参加している。日本って、古楽受容は遅れているような気がするんだけど、演奏家は、レベル高いんだよなぁ~。

さて、聴き始めてびっくりするのはコレッリの合奏協奏曲の華麗さだ。金管が鳴る、鳴る!なんと、トロンボーンとトランペットが参加しているのだ。おかしい…コレッリの合奏協奏曲に金管楽器は出てこないはずだ。古楽の楽団だからにして、トロンボーンはサックバッドだろうし、トランペットもピストンのないナチュラル・トランペットだ。そこは拘っているんだけど、いや、これオーセンティックじゃないよねぇ。最近の古楽ってオーセンティックに縛られ過ぎていない気はしていたけれども、これは…。飛躍しすぎじゃないか?響きは完全にヘンデル。王宮でぶっ放したくなるレベル。なんか、こうする根拠はあるんだろうか。楽しいから?それならいい(笑)。

演奏は、古楽器でありながら丁寧で繊細な作り。もちろん、尖がった演奏ではないんだけれども、適度に活き活きとしたリズム感が心地良い。コレッリ以外は、変なことをするわけでもなく、安心して聴ける。ジェミニアーニのラ・フォリアはコレッリの改編だが、ドイターのソロも素晴らしく、なかなか楽しめる内容だ。同様の内容のCDでは、リッカルド・ミナージとムジカ・アンティクァ・ローマのものがあるが、演奏的にはこちらの方が無難。金管がいなければ…(笑)。

レーベルは、ACCENT。最近、個人的に急増しているレーベル。世間的には売れている…のか?よくわからないけど、次々と古楽系の面白いCDをリリースしてくれる。ありがたや。

 

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『ゴールウェイ伯の楽しみ~「魔女たち」のアイルランド音楽~』と言うタイトルのCDを聴いている。英題はLord Gallaway's Delight、サブタイトルにAn Excellent Collection of Dances & Gaelic Lamentsとある。このタイトルから想像できる通り、アイルランドに古くから伝わる舞曲と哀歌を集めた一枚。演奏しているのは、フランスの古楽楽団、レ・ウィッチーズ。プレイフォードの録音が鮮烈で印象深かったが、ほかの録音でもトラッド色の強い音楽で高い評価を得ている楽団である。「魔女たち」を意味する楽団名が示す通り、中心メンバーは女性。レ・ウィッチーズを離れると、個々は欧州各地の著名古楽楽団で活躍している腕利きばかりだ。

今回は、ゲストにシュヴァン・アームストロングと言うアイリッシュ・ハープ奏者を迎えている。アイリッシュ・ハープのように古いタイプのハープを弾く演奏家と言えば、アンドリュー・ローレンス=キングが第一人者として知られているが、寡聞にして、アームストロングと言う名前ははじめて聞く。アイルランド音楽にアイリッシュハープは欠かせない楽器なので、アイルランドには名手が多くいるのだろう。

さて、今回のアルバムに収められているのは、18曲。タイトルのゴールウェイ伯の名は3曲目の「ゴールウェイ伯にまつわる嘆き」で出てくる。ゴールウェイは、アイルランド西部の街の名前。ここで言うゴールウェイ伯は、17世紀末の頃にこの地方を治めていた子爵で、ユーリック・バークと言う名の人物を指すらしい。この人は、ジェイムズ2世とオレンジ公ウィリアムの戦いに巻き込まれて、討たれたと言う。このゴールウェイ伯を偲んだのが、「ゴールウェイ伯にまつわる嘆き」。そして、CDのタイトルは、ゴールウェイ伯の日頃の楽しみをイメージしたのだろうか。なかなか洒落たタイトルである。

このCDを流し聴きをしていてふと思うのは、ブルーグラスに通じるような哀愁が漂っていること。源流は似たところにあるのかも…と想像を膨らませてみる。そんな音楽に、切々としたヴァイオリンの響きが乗っかり、素朴で清澄なアイリッシュハープが絡んでいく。そして、笛や打楽器も加わってこれば、一気にレ・ウィッチーズの世界が広がっていく。プレイフォードの録音で聴く者を魅了した、リズミカルで、それでいて、清澄な音楽だ。哀歌に相当する曲も透明感があり、美しい。フランスの楽団だが、アイルランドの美感をよく捉えているのではないだろうか。アイルランドやスコットランドは、イングランドとの戦いの関係で、フランスとは同盟関係が深かったらしいので、何か通じるものがあるのかもしれない。録音も良好。レ・ウィッチーズの響きをよく伝えてくれる。

ジャケットの荒涼とした浜辺と廃墟の写真も、音楽に合っていて、激しく郷愁を煽り立ててくる。高いCDなんだけど、魅力的なんだよね、アルファ・レーベル。今後の録音にも期待したい。そして、レ・ウィッチーズの来日公演も…いつか!

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シュパンツィヒ四重奏団のハイドンを聴いている。

シュパンツィヒは、ロマン派初期の頃に活躍したヴァイオリニストで、ベートーヴェンやシューベルトと親交があったとされる。彼は自分の名前を冠した四重奏団を結成し、親交のあった作曲家の作品を演奏していた。

なんと、そんな時代の録音が残っていた…わけない。ここで聴くシュパンツィヒ四重奏団は、シュパンツィヒが生まれて200年目に結成された弦楽四重奏団である。第1ヴァイオリンは、アントン・シュテック。コンチェルト・ケルンやムジカ・アンティクァ・ケルンのコンサートマスターを務めたバロック・ヴァイオリニスト。よって、このシュパンツィヒ四重奏団も古楽器を使用して演奏をしている。

以前、ボンに行った際に、ベートーヴェン・ハウスで展示されているベートーヴェンが所有していたと思われる弦楽四重奏の楽器セットを用いて録音したCDが売られていたので記念に買ってきたが、この録音で演奏しているのが彼らだった(日本でも入手可。演目はベートーヴェン)。スピード感溢れるリズムと引き締まった響きが心地良いまでに決まった演奏で、単に「博物館の楽器を弾いてみました」と言う色物に収まっていない名盤だった。

さて、ハイドンである。シュパンツィヒ四重奏団は、これまでにこの作曲家のCDを2枚リリースしている。そして、これが3枚目。ハイドン弦楽四重奏曲選集Vol.1-3と言うこと。んで、この3枚目がラストの1枚と言うことになる。実は、先の2枚はまだ買っていない。なので、彼らのハイドンを聴くのはこれがはじめてと言うことになる。レーベルは、古楽の名門、ACCENT。ACCEBTのCDはぶっきらぼうなジャケットが多いが、これはメンバーがポーズを決めて写っている。ちょっとVirginちっく。

演目は、弦楽四重奏曲ト長調Op.54-1、同ハ長調Op.20-2、同ト短調Op.74-3『騎手』の3曲。どの曲もはじめて聴く。と言うか弦楽四重奏曲って聴かないんだよね。このブログにもほとんど登場してこなかったはず。実は苦手なジャンル。

しかし、シュパンツィヒ四重奏団の演奏は、妙に合うんだよなぁ。たくさん聴いてきたわけじゃないけれども、前述のベートーヴェンにしても、このハイドンにしても、あっつう間に聴き切ってしまう。鋭い響きがハイドンのメロディを小気味良く切り刻んでいく。弛緩することのないキリリと引き締まった響きで、スピード感を持ったまま一直線に音楽を仕上げてしまう。この演奏に耳を傾けていると、ハイドンが退屈に感じられることは、一瞬たりともない。ハイドンの魅力が迸ってスピーカーを震わせる。良い演奏だ、これ。古楽器だからと言うだけじゃないんだろうなぁ。つか、シュテックのヴァイオリン、滅茶苦茶好みなんだよね…。確かな、技術力に支えられた繊細な音、これぞ、ヴァイオリンの至芸だと思わされる。

と言うわけで、残りの2枚も買わないと…。つか、これを機に弦楽四重奏曲に目覚めるか?!そうであれば、また面白い世界が広がり、財布が悲鳴を上げることになる(汗)。



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