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台風が過ぎ去った。快晴。部屋に閉じ籠っているのもなんなので、ふらりと神保町に散策に行ってみた。今、ちょうど古本祭りをやっている。祭りとはいうものの、皆本を黙って物色しているので、基本的には静かである。なので、案外に何時もの古本街の空気感は失っていないのがうれしい。過去こそ偉大みたいな考え方は嫌いだけれども、神保町のちょっと時が止まってしまいそうな独特の雰囲気は好きなのだ。今日もそんな空気を楽しみつつ、ウィンドショッピングを楽しみ、最終的にディスクユニオンへ。古本祭りと関係があるのかないのかわからないけれども、狭い店内は結構混み合っていた。数枚のCDを購入して、外へ出ると、ひんやりとした秋の空気。ほの暗くなっているけれども、まだ電灯の下で大勢の人が、本を探していた。

さて、今日買ってきたわけじゃないけれども、こんな風情が似合う1枚のCDをご紹介しよう。

ピエール・フルニエのチェロ小品集。1964年に録音され、コンサート・ホール・ソサエティからリリースされた1枚。コンサート・ホール・ソサエティは、1970年代まで活動していたレーベル。日本でも通販で安いレコードを販売していたらしい。実在するかどうか怪しい楽団などが登場したレーベルだそうだが、日本の家庭にクラシック音楽なるものを普及するのに多大な影響を及ぼした、らしい。

ただ、中にはシューリヒトだの、ミュンシュだのと言った超大物が混ざっていたので、今でも時々、復刻が進められている。今回のフルニエもそうしたものの一つ。タワーレコードとDENONとの共同企画によるもの。

まず音が流れ出して思うのは、「古い!」と言うこと。音質も時代相応以下なんだけれども、企画とか、編成が、なんとも古臭いのだ。バロックものをやるのに、チェロの後ろでオーケストラが、鈍重に眠たげに鳴り響く。これ、今じゃ流行らない、っていうか、演奏されることのないタイプだと思う。ちなみに、バックはジャン=マリー・オーベルソンなる指揮者の率いるパリ・コンサート管弦楽団。何なんでしょうか、この楽団は(笑)。

それでも、フルニエの演奏が、すべてをチャラにしてくれる。温もりがあって、芯の強い確りとした演奏だ。もちろん、今日的な演奏を聴きなれている耳には、古い演奏手法に聴こえるだろうけれども、それはありがちな「古臭い音」ではなく、「古き良き音」なのだ。昔はよかったわけではない。けれども、忘れがたい音もある。その一つが、フルニエのチェロなのだと思う。正直、大演奏家と崇められている人であっても、今更聴く気の起きない人は多いけれども、フルニエの演奏は、時々、引っ張り出してきて、哀愁に浸りたくなる貴重なものだ。

フルニエの演奏するサン=サーンスの白鳥を聴きながら、神保町の喫茶店で一服したら、たぶん、今日と言う文明的な日を忘れることができるんじゃないだろうか。たまにはそんな日があってもいいと思う。



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最近のクラヲタは新譜情報をどこから入手しているのだろうか。『レコード芸術』ではないよなぁ。きっと、ネット。ネットのどこからかと言うと、自分の場合はHMVのホームページ。たぶん、そういう人って多いんじゃないかな。案外、まとまった情報を入手できるところって少ない。

で、HMV依存になる。でも、HMVだって諸事情で、選んだ新譜を出してきている。それが、自分の好みに合っているとは限らなくて、結局、上手く情報を入手できなかったりする。タワーレコードの店頭で、「え?こんなの出ていたんだ!」ってことはよくある。

と言うことで、HMVでアナウンスされていない新譜をご紹介。

ナイーヴのヴィヴァルディ・エディションの最新版で、リッカルド・ミナージとドミトリー・シンコフスキーによる二重協奏曲集。バックは、イル・ポモ・ドーロ。共に、ヴィヴァルディ・エディションのヴァイオリン協奏曲で登場している。また、イル・コンプレッソ・バロックとのヴィヴァルディの録音で共演を果たしている。同じ事務所に所属しているので、割と近しい仕事が多いのかもしれない。

同じナイーヴからマルク・ミンコフスキーとルーヴル宮音楽隊のワーグナーもリリースされる。記念イヤーとして、注目されるだろう。ミンコフスキーのワーグナーとはまるで想像もつかないが、どんなことを仕掛けてくるだろうか。

何れも注目のリリースなので、そのうちHMVにも出てくるんじゃないかとは思うけど。

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ヴァイオリンは、西洋伝統音楽において最も重要な楽器の一つである。オーケストラでは、その要であるコンサートマスターをこの楽器の奏者が務めるし、弦楽四重奏のリーダーだってそう。

でも、ヴァイオリンがメジャーになったのは、長い西洋音楽史の中でそれほど古い話ではない。古楽を聴いていれば、大体、17世紀の半ばから後半くらいが、ヴァイオリン音楽の本格的なスタートだったことがわかる。もちろん、ルネサンスの頃から楽器としては存在したのだけれども、重要な楽器として、アンサンブルの中心になり、作品の中心に出てくるのはこの頃だ。そして、何事においてもそうだけれども、出始めと言うのは、刺激的でチャレンジ精神にあふれている。

そんな時代の音楽を集めたCDがリリースされた。タイトルは『スパイシー』サブタイトルに、“Exotic” Music for Violinとある。この時代の作品集に付けるには、最適なタイトルだ。演奏者は、メレット・リューティとレ・パシオン・デ・ラーム。リューティはスイスのベルン出身の女流バロック・ヴァイオリニスト。レ・パシオン・デ・ラームは、リューティをリーダーとした、ベルンの新しい古楽アンサンブルである。ホームページを確認すると日本人も参加しているらしく、紹介の動画では、日本語での挨拶も聴ける。その影響か、DHMからリリースされた、この輸入盤のCDにも、日本語の解説がついている。

収録曲は、シュメルツァーの4声のための剣術学校、ソナタ『トルコ人を破るキリスト教徒の勝利』、ビーバーの技巧的で楽しい合奏から第3番と第6番、ヴァイオリン・ソロのための描写的なソナタ、フックスのパルティータ『トルコ風』。

パッと見気になるのはシュメルツァーのタイトルが異彩を放っていること(笑)。シュメルツァーだしな…しょうがない(汗)。タイトルはともかく、注目したいのは、ソナタ『トルコ人を破るキリスト教徒の勝利』。これ、ビーバーのロザリオ・ソナタの第10番をまるまるパクって変調しただけと言う代物。最後の方にオリジナルのメロディをくっつけてはいるけど、ここまで見事なパクリをすると現代人の感覚では、怒りの対象になるが、この時代はそういう意識はない。18世紀、古典派くらいまでの作曲家には、「パクリ=悪」と言う意識はあまりなかったようだ。パクっても良ければ良いじゃん、と言う何とも快楽的な発想。だから、「モーツァルトはパクリが多いからダメ」と言う向きは、現代感覚を古い音楽に押し付けているようであまり好きな論調ではない。ほぼ18世紀以前の音楽を全否定することになりかねないし(笑)。

それにしても、ロザリオ・ソナタをトルコと西洋の戦いに見立ててしまうとは…。流石、シュメルツァー、突拍子もない。ちなみに、ロザリオ・ソナタの第10番って、イエスの磔の場面なんだよね。ビーバーも苦笑ものだ。

トルコ絡みでは、フックスの作品も、そう。ドンチャンドンチャン鳴り響く、トルコの軍楽隊を髣髴とさせる。西洋史的にはちょうどこの頃、西洋とトルコが戦っていて、その影響が音楽にも出てきているのだ。後世のモーツァルトのオペラ『後宮からの逃走』なんかもその類。

この辺りが、このCDのサブタイトルのエキゾチックな部分なんだろう。では、スパイシーは?と言うと、これはビーバーが中心。もちろん、シュメルツァーもなかなかにスパイシーなんだが、刺激的で挑戦的な音楽は、ビーバーの独断場。技巧的で楽しい合奏と描写的なソナタが一気にこのプログラムをスパイシーにしている。演奏もなかなかにスパイシーだ。メリハリがあって、耳障りではないくらいに尖がっている。レツボールの熱い情熱で、暑苦しく紹介されるオーストリア・バロックも良いんだけど、レ・パシオン・デ・ラームは、もう少しだけスマート。ビーバーの演奏も、程よく情熱的だ。ちなみに、使用されている楽器のうちヴァイオリンとヴィオラはシュタイナーなんだけど、解説によれば、ビーバーとシュタイナーは、知遇があったらしく、ビーバーはシュタイナーの楽器を使っていた可能性が高いとか。この辺の拘りも、聴いているものを感心させる。
 
このCDは、レ・パシオン・デ・ラームのデビュー盤らしいが、リューティ共々、今後も楽しみにしていいアンサンブルだと思う。ちなみに、アンサンブルの名前は、デカルトの論文「魂の情念」に由来していると言う。凄い名前だな…。

 

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サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番が好きなんである。サンサン言っているのが気持ちよくって…ではなくて、曲が。ロマン派のヴァイオリン協奏曲の中では、屈指のお気に入り。3大ヴァイオリン協奏曲と言うと、ブラームスだとか、チャイコフスキーだとか、ベートーヴェンだとかいうんだけれども、そんなものはどうでもいい。もちろん、それぞれに良い曲なんだけれども、ロマン派期のヴァイオリン協奏曲と言えば個人的には、この曲とシベリウスなのだ。ロマン派の神髄には全く触れてこないけれども、ヴァイオリンを堪能するのに最適な曲だと思う。

じゃぁ、どの演奏がいいのか。まずは、フランチェスカッティ。天真爛漫、胸が空くような美音、この曲の魅力を一杯一杯に歌い上げていく様、そりゃ、見事。オーマンディの豪華な伴奏もよく合っているんだけど、最大の欠点がモノラル録音ってこと。

と言うわけでもう少し後世の録音を…。と言うことで、お次は、パールマン。バックは、バレンボイムとパリ管弦楽団。最初に聴いたのがこの録音。何度も聴いた。名演であるには違いないんだけど、もっと豊麗な響きの演奏を探したくなる。で、シャハム。この人の演奏も素敵だ。だけど、今度は、パールマンにあった何かが欠けてしまったような若干の物足りなさがある。ではでは、ミルシテイン、グリュミオー…うーん…それぞれに良いんだけどなぁ。

それと、最近の録音が欲しい。良い若手のヴァイオリニストたくさんいるし。カプソンなんかが録音してくれればいいんだけど…。

と思っていたら、出た。この人は、美音が売りだから、ピッタリのはず。バックは、ブランギエ指揮するフランス放送フィルハーモニー管弦楽団。ブランギエ?だれ?でも、カプソンだから買う。迷わず買う。カップリングには、弟カプソンの弾くチェロ協奏曲第1番。

やっぱり、良い。1楽章から良い。繊細に、華麗に奏でていく。そして、2楽章の美しさ。ホントに、もう、ね。美音ゴリ押し(笑)。幻惑されているうちに、3楽章へ。高い技術力にも脱帽。相も変わらず、上手い。バックも頑張っている。若手の指揮者だそうで、今後が楽しみ。

レーベルはERATO。EMI&VirginがWarner傘下になったこともあって、VirginのアーティストだったカプソンはERATOのアーティストになったのか?それとEMIのロゴは廃止されたみたいだけど、ERATOのロゴはそのまま。以前からWarnerだったから大事にされているのか?

近頃のレーベルの統廃合、グループ関係はよくわからない…。大レーベルの時代は終わったんだろうなぁ…。

 

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タワーレコードの店舗取り置きをネットで予約した。んで、取りに行ったんだけど、まず店員さん「アーティストは誰ですか?」って訊くんだよなぁ。以前も、こんなことがあったけど。しかし、今回の店員さんは、戸惑わなかった。「えっと…アマンディーヌ・ベイエとルノー・カプソン…」と答えると、すかさず「複数枚のご注文ですね。お名前よろしいですか?」。うん、適切な対応だ(笑)。つか、注文番号は何のためにあるのだ。

さて、と言うわけで、ベイエ(ベイエールとも言う)の新譜を入手。記念イヤーのコレッリの合奏協奏曲集作品6。ベイエの主宰するアンサンブル・リ・インコニーティとの共演。レーベルは、ZIG-ZAG TERRITOIRES。相も変わらず、強気の価格設定。でも買うのだ。買わねばならぬのだ。

コレッリの合奏協奏曲集と言えば、何となく、もっさりとしていて、眠たくなるようなイメージだが、ベイエの演奏は透明感のある闊達な演奏だ。良い演奏に出会えれば、やはりこの曲は大変な名作だと判る。これまでも全曲でなければお気に入りの演奏があったのだけれども、全曲盤で良いな、と思ったのは、これが初。と言うわけで、今後、この曲が聴きたくなったら、この演奏で楽しむことになると思う。個人的スタンダード。

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今回の燕岳→大天井岳→常念岳縦走は、去年の五竜岳以来1年ぶりの北アルプスだった。で、その前はと言うと、雲ノ平と水晶岳を縦走した2008年まで遡らないといけない。南アルプスにしたって、近年、殆ど行っていない。

そんな浦島太郎のような状況だから、今回、燕山荘に泊まって、客層の変化に驚いてしまった。なぜか去年の五竜岳ではあまり判らなかったんだけれども、ここ2,3年で若い人が激増していたのだ。中高年もまだまだ多いけれども、20代、30代は物珍しい目で見られる存在ではなくなっている。あちらこちらで若者が輪を作り、会話を弾ませ、山の素晴らしさを語っている。なんなのだ、この状況は。

どうもきっかけは山ガールらしい。山ガールが低山ハイクをしていると言う話は聞いていたんだけれども、いつの間にか、アルプスにまで足を延ばすようになっていたらしい。山ガールなんて一過性のものだと思っていたけれども、案外定着してしまった。で、百名山ブームの頃「登山=中高年のもの」だった固定観念が解かれて、若い人たちも山に向かうようになった。男性も、別に山ガールを追い求めているわけでもなく、「若い人が山に行ってもいいんだ」となって、一気に若返った。そして、若い人は、あまりツアーに乗らないらしく、ツアー登山もほとんど見かけない。

と、こんな感じだろうか。ここまで、現実に推測を加えて書いてみたけど、あながち外れじゃないと思うんだ。

じゃぁ、今後どうなっていくんだろうか。自分は、小さい頃から山に連れられて行っていて、そのころの記憶も少しあるんだけど、その頃は、ちょうど今のような年齢層の人が多かったと思う。で、どうだったか。兎に角、若い人は、無茶をする。それが長所でもあるんだけれども、短所でもある。北岳の岸壁に張り付いているクライマーの姿を今でも鮮明に覚えている。結構みんな激しいことをするようになるんじゃないか。重々気を付けてもらいたいものである。自分も気をつけなきゃ、だけど(汗)。

なんにせよ、若い人が山に向かい始めたのは喜ばしいこと。体力の必要な趣味なだけに、若い人が多いのは自然だと思うし。そう言えば「若い人が少ない」と頭を抱えていたとある山小屋の若旦那がいたけれども、今は喜んでいるんじゃないかな。

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先週の日曜日、槍ヶ岳が白く染まった。今年の初冠雪だと言う。この日は槍穂に限らず、立山連峰、後立山連峰、黒部源流域と言った北アルプスの主峰の峰々はうっすらと雪化粧をしていた。

その日、その様を燕山荘から眺めていた。

打って付けの行楽日和が予想された10月の3連休の初日、前泊していた穂高駅前のホテルからタクシーで中房温泉に移動、大勢の人に紛れて、合戦尾根を登る。北アルプス3大急登と言われると、さも大変そうなんだが、地図をよく読めば、北アルプスへのアプローチ・ルートとしては楽な方であることがわかる。3大は、“大変な”ではなく、“メジャーな”と言う意味なんだろう。6時頃中房温泉を出て、9時過ぎには着いていたから、休憩時間を除けば、3時間程度の登り。コースタイムは4時間とあるけれども、そんな快足ではない自分たちでもこんなもの。

心地の良い稜線にこれほどあっさりアプローチできるのは大変魅力的だ。残念ながら、この日は、雲が多く、燕岳の山頂も雲に覆われていて、展望は得られなかった。もっとも、数時間後には青空も覗いていたので、時間帯によっては、そこそこの展望はあったのかもしれない。

この日は、燕山荘泊。9時に到着して、泊まり。まだ受付もしてもらえない。山頂でのんびりするために9時頃山小屋に到着することは、よくあるんだけど受付してもらえなかったのははじめて。流石、大型山小屋。

食事は3~4回転。その度に、小屋の主人が、登山初心者向けのお話とアルペンホルンの演奏を披露する。「あまり知られていないかもしれませんが、アルプスの方では有名な曲です」と言って、紡ぎだされたメロディ…ブラームスの交響曲第1番第4楽章の冒頭のあのメロディ!ここで聴くとは。

消灯は21時。19時には横になったけれども、いつものことで良く寝付けない。夢現を彷徨っているうちに3時頃になる。外に出ると雲一つない快晴に、数多の星が瞬いている。カメラを担ぎ出す。ベンチにセットする。

ジャリ…ん?この感触なんだ?午後遅くにみぞれが降っていたのをすっかり忘れていた。そして、これは…雪。気温は多分氷点下。風もある。だけど、素晴らしい景色。寒さに耐えるか、暖かい室内を取るか。結局、1時間くらいは外で耐えた。

翌朝、大量の人と共に日の出見物。その後、朝食→出発。さほどアップダウンのない快適な縦走路を風景を楽しみながら歩く。前述のとおり、西に見える峰々は雪化粧をしている。この日の目的地は、常念小屋。途中、大天井岳を通り、お昼頃、常念小屋到着。大天井岳は、方々から見ていて、景色の良さそうな山ではないかと思っていたんだけど、思った通り。槍穂の展望が見事な山だった。

この日は常念小屋に泊まって、やっぱり3時頃外に出て、星空見物。槍穂に、常念岳に、星の光が降り注ぐ。しんと静まり返った、異空間。この時間が、とっても好きなんである。

やがて、夜が白んでくる。準備を整えて、いざ常念岳山頂へ。暗い岩場をルートを探しながら登っていく。5時半ころに山頂着。先客は一人。でも、後ろを振り返るとライトをつけた登山客が、列をなして山頂を目指してくる。

日の出を待っていると山頂直下の岩場に動く、白い生き物が…。オコジョ冬毛版。夏毛版は、尾瀬と水晶岳の山頂で見たことがあるけど、冬毛版は初。日の出よりそっちに目が行ってしまった。

いつしか山頂は大勢の人であふれていた。この山に登るのは、10年ぶり2度目だけど、前回は雲が多くて景色が楽しめなかったので、景色を見るのは初。この2日間見続けてきた槍穂を改めて眺める。しかし、これまで写真をだいぶ撮ったので、改めて撮影する気にならず。

日の出が終わると、カメラをしまってさっくり下山。常念小屋の前で朝食を済ませて、一ノ沢登山口に下山。その後タクシーで日帰り入浴&昼食を経由して、穂高駅へ。ここから松本経由で帰京。

今年初の日本アルプスだったけど、やっぱり景色は良いなぁ。また行きたい。もうそろそろ、再訪の山ばかりになってくるけど…。
  


  
  

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マーク・パドモアの新譜を買う。このテノール歌手は、古楽系とドイツ・リートを得意としているが、ありがたいことに近代イギリス歌曲も十八番にしている。今回の新譜も近代イギリス歌曲を中心にしたプログラム。以下の通り。

ヴォーン・ウィリアムズ:『ウェンロックの崖で』
ヴォーン・ウィリアムズ:『ブレイクの詩による10の歌』
ドーヴ:ジ・エンド
ウォーロック:『タイシャクシギ』

共演は、ジャクリーヌ・シェーヴ指揮ブリテン・シンフォニエッタ。彼らとは、以前、フィンジの『降誕祭』をリリースして好評を博している。レーベルは共に、ハルモニア・ムンディ・フランス。センスのあるジャケットも好印象。

さて、今回のCD、ほかも魅力的なんだが、メインは何と言っても、『ウェンロックの崖で』だろう。ヴォーン・ウィリアムズの歌曲の中でも、最も演奏頻度が高い名曲だ。パドモアも得意としているらしく、これが2度目の録音となる。

イギリスの近代作曲家の多くが、曲を付けたハウスマンの詩集『シュロプッシャーの若者』の詩によるもの。たぶん、ヴォーン・ウィリアムズのこの曲がこの詩集による最初の歌曲だと思う。淡々とした中に、仄かに混ざる不安や哀愁がとても綺麗な音楽だ。

パドモアの歌唱は、感情移入をし過ぎることなく、鮮明にヴォーン・ウィリアムズの歌心を描き出していく。その無駄な力の抜けた響きは、曲の持っている流れに身を任せるように、次の曲、そのまた次の曲へと進んでいく。パドモアの歌を聴いていると、この曲の持っている本来の美しさとか、ハウスマンの描いた「若者」の様々な感情とかが、幻想的な雰囲気をもって、今この空間を満たしていくようだ。これはもう流石としか。

ほかの曲も、良いと思う。ちなみに、ドーヴは、現代の作曲家。それと、『タイシャクシギ』は、ウォーロックの歌曲の中でも、有名な部類だと思う。近代イギリスの歌曲なので、ドイツ・リートのようなドラマチックな展開やメロディーはないけれども、静謐な世界を楽しみたい方には、お勧めできる一枚。パドモアのような売れっ子がこういうレパートリーを録音してくれると、以前からのファンとしては、一気にメジャーに駆け上がった気がして、何となく嬉しい(笑)。

 

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■ 道東放浪

先日野暮用で釧路に行ってきた。んで、土日+αを使って道東巡りの旅。

朝の飛行機で釧路空港へ。ここからレンタカーに乗って、一気に阿寒を目指す。目的は、オンネトー。濃厚な水色の水を湛えた綺麗な湖だ。その先に聳える阿寒岳も見もの。オンネトーの次は、野付半島へ。根室海峡にひょろりと伸びた半島だ。立ち枯れの荒涼としたトドワラが名物。地の果て感が半端なくって、心寂しくなる。根室海峡を挟んで、16㎞先には国後島が横たわる。北に目を移すと知床連山が雲を戴いて東に延びている。野付半島の先端まで行った後はここを目指す。陽が大分傾いた頃、羅臼温泉到着。知床峠まで行ってみるが羅臼岳は雲の中。

翌日早朝に宿を後にして、再び、知床峠へ。相も変わらず羅臼岳は雲の中。車の中でパンを齧り、朝食を済ます。そして、岩尾別温泉へ。一度分岐点を見逃して、知床五湖まで行ってしまったが、ここが目的地ではない。あくまでも、目的地は岩尾別温泉。ここで羅臼岳登山のためにお願いしてあったガイドさんと合流。羅臼岳は北海道の中でも、最もヒグマが出没する山だ。しかも、知床と言う特殊な環境にある山。色々と未知な部分が多かったのでガイドさんをお願いしたのだ。途中ガイドさんの知り合いの漁師兼猟師さんと、それから地元の観光協会の人と合流して、面白い話を聞きながら登頂。曇っていて眺望は得られなかったが、途中の紅葉は見事だったし、登山道は変化があって楽しめた。

下山後は、岩尾別温泉で汗を流す。その後、日没までまだ時間があったので、知床五湖を目指す。途中、岩尾別川でヒグマと遭遇。観光客やカメラマンが集まっていたので、何事かと車を停めて降りてみたら、ヒグマがいたのだ。小熊ではないが、まだ若いようだった。みんなパシャパシャ。もちろん、自分もパシャパシャ。熊が動けば人も動く。人と熊のこの距離感。知床はやっぱり北海道でも特別みたいだ。やがて、熊は道路に上がってきて、よい背景ではなくなったので、ここを去る。が、さらにその先にもヒグマが…。こちらの方が大きく、迫力があったがそんなに近くには寄らなかった。その後、知床五湖へ。観光客わんさか。連山に雲がかかっている他は快晴。五湖を後にして、少し行くと連山もだいぶ雲が取れて、羅臼岳も姿を現していた。この日は陽が沈んでから川湯温泉に移動。真っ暗で真っ直ぐの道を何回通ったことだろう。

翌日も早朝から行動開始。屈斜路湖から釧路川の源流域をカヌーで川下り。早朝の静かな雰囲気が最高に気持ちいい。物静かなガイドさんの説明を聴きながら、2時間のクルージング。その後は宿にいったん戻って、朝ご飯と朝風呂。この頃から雨が降り出して、宿を出てからは、雨の中のドライブ。神の子池を目指す。摩周湖と繋がっているこの池は、陽の加減によって色が変化する神秘の泉。写真に撮って絵にはならないが、現物は美しい。その後、裏摩周展望台、多和平を経て、釧路湿原の細岡展望台へ。この頃には雨も本降りになっていて、展望はあまりよくはなかった。

そして、釧路駅へ。レンタカー返却。総走行距離1,700㎞弱。後で調べたら、仙台から鹿児島より長い距離なんだが、そんな走った気はしない。なんかの間違いじゃないかなぁ?

この日は炉端焼きを頂いて、翌日野暮用を済ませて、ANAの最終便で釧路から羽田へ。やっぱいいな、北海道。


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再び、NHKホール。1週間振り。今日もブロムシュテットのブラームス。演目は、ヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番。1週間前に聴いたのは、交響曲第2番、同第3番。そう、ブロムシュテットは、NHK交響楽団の今シーズンのオープニングと言うことで、交響曲全集を演奏しているのだ。そんなわけで、交響曲第1番と序曲を演奏した演奏会もあったんだけど、こちらはチケットが取れなかった。どうだったんだろうか。

で、さて、今日の演奏会。これは凄かった。86歳の演奏じゃないと言えばそうなんだけれども、結局はこの演奏もその長いキャリアによって築かれたもの。その深い音楽性は、86歳ならではともいえるのかもしれない。

まず、前半のヴァイオリン協奏曲。ソリストは、フランク・ペーター・ツィマーマン。この人のブラームスは、ベルリン・フィル・デジタル・コンサート・ホールで、ハイティンクと共演しているのを聴いて、一度生で聴いてみたいと思っていた。それがブロムシュテットとの共演で聴けるとは…。ツィンマーマンの演奏は、熱くなっても、歌心を忘れない。そして、何なんだろな、あの音色。綺麗なんだけど、それだけじゃ、言い足りないくらい魅力的に響く。すごく惹き込まれる。ヴァイオリンやる気なくした(笑)。ブロムシュテットのサポートも流石。時々、低音がゴゴゴと響くが、これは何の前触れなのか…。

アンコールは、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番の前奏曲。ブラームスで熱演を繰り広げた後にこれだけの曲を、しかも、最高の水準で弾き切るとは。演奏の後に、少し観客がどよめいたのも納得。

後半は、交響曲第4番。第1楽章から凄い熱気。躍動感あふれる音楽に漲る気合い。第1楽章が終わった段階で、「これ終楽章まで持つんかな?」と思うほど。しかし、最後まで持った。凄まじい推進力で終楽章が鳴り終わると万雷の拍手。そりゃ、そうでしょう。オーケストラには、ちょっと大き過ぎる感のあるNHKホールを轟々と鳴らし、それでいて、音色は深みがあって、豊か。とんでもない熱演だったんだけど、狂気に逃げず、真っ向からブラームスに勝負を挑んだ感じとでも言おうか。NHK交響楽団、本気出すと凄いな。こんな凄いNHK交響楽団聴いたことって…あったっけかな?なんていったら失礼かもだけど、それくらい凄かった。

明日も同じ演目らしいけど、この集中力は途切れずに行くのだろうか…。それとパンフレットの最後の方を見たら来シーズンも、シーズン開幕の9月に3つのプログラムを振る旨、アナウンスされていた。来年87歳だぞ…。


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