テレマンの『ターフェル・ムジーク』全曲をぶっ通しで聴いている。合計4時間13分。まぁ、オペラ観ると思えば、ちょい長いくらいなんだが、器楽曲でこれだけ長い曲は珍しい。いや、正確に言えば、1曲とは言えなくって、曲集なわけなんだが、何れにせよ長い。まぁ、バロックにはこの手合いの長い曲はゴマンとあるんだが、それは需要に合わせたものだからじゃないかな。ターフェル・ムジークの場合は、貴族様のお食事、またはパーティ的な祝典のための音楽だから、短いわけにはいかない。実際には、場合に応じて、この曲集から何曲か演奏されただけかもしれないけど…。
で、そんな曲にいっちょ、まともに付き合ってみようと思って、全曲ぶっ通しで聴いているんである。こういう時に、CDのデータ化は威力を発揮する。自然とディスクチェンジしていくので、まったく違和感なく次の曲、次の曲と進んで行ってくれる。複数のCDをセットできるCDプレイヤーだって、交換するときは少し間が開く。
それにしても…終わんねー。いくら長い曲に慣れているクラヲタでも、4時間オーバーは長い。おいらは、それほどバロック慣れをしているクラヲタじゃないし。しかし、退屈と言うことはない。交響曲のように脈絡のあるものじゃないので、それが逆にいいのかも。テレマンの色んな曲を聴いていると思えばいいのだ。
演奏は、ゲーベル&ムジカ・アンティクヮ・ケルン。ゲーベルは最近よくお世話になる演奏家だ。バロックをまったく退屈感なく聴かせてくれる、古楽器の名演奏家だ。ムジカ・アンティクヮ・ケルンは、残念ながらリーダのゲーベルの惜しい事情で解散してしまったが、長らく古楽の都ケルンを支えてきた楽団だ。
ターフェル・ムジークでも、彼らの切れ味の良い演奏は素晴らしく、楽しく聴かせてくれる。食卓の音楽と言う曲名の通り、バックミュージック、サロンミュージック的な印象も拭いきれないターフェル・ムジークだが、ここで聴く音楽はそんな退屈な印象とは程遠いものだ。低音もよく鳴り、鮮烈な音楽が鳴り響く。正にBGMの範疇を大いに逸脱した充実の音楽。曲により様々な楽器のソロが大変よく活躍する曲集だが、ヴァイオリンのゲーベルだけではなくその他の各ソリストの演奏も清々しく素晴らしい。こんな演奏、食卓で聴いたら…音楽に集中しちゃって、食事の味見れない…(笑)。
この素敵なCDが最近出たコレクターズ・エディションで何と2,000円台で買える。ワォ!これはお買い得。間違いなくお勧めできる名盤。
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