メンデルスゾーンの交響曲第5番は『宗教改革』と言う副題を持つことからも解るように、宗教的な敬虔さに満ち溢れている曲。教会で演奏されても、ごく自然に調和していくだろうと思う。そもそも、この曲のタイトルは、ルターの宗教改革300周年を記念して作曲されたもの。だから、曲にも宗教色が色濃く出ているわけだ。その象徴的なものが、第1楽章に出てくるドレスデン・アーメンの音型。祈るような美しい静寂が漂う。2楽章はAllegro vivace。馴染みやすい心温まる音楽。が、この曲の聴きどころは、フィナーレ。Andante con motoからAllegro maestosoにテンポが変わってからが圧巻。畳み掛けるような音楽に飲み込まれてしまう。なのに、宗教的、敬虔。清澄にして、破竹。21歳の若さの爆発もあるのだろうが、実に、素晴らしい音楽になっている。