最近のこのblogときたら、ルネサンスとか古典派とか(まぁ、時々、マーラーがあったとは言え)一般受けしそうにないものばかりだった。反省するべきである。クラシック音楽のブログと言えば…そうだ、もっとロマン派に力を入れなければならない!(偏見)
と言うわけで、今日は、ジョルジュ・オンスロウの交響曲を…。恥ずかしながら最近まで聴いたことのない作曲家だったのだけれども、古典派からロマン派に移るにあたり、そこそこ重要な作曲家のようだ。ベートーヴェン同様、初期の頃は古典派に片足を突っ込んでいたようだが、結局はロマン派の旗手的な存在となった。ベートーヴェンやシューベルトに似通った響きを持っているが、その名が示す通り、フランスの作曲家である。故に正確にドイツ・ロマン派とは言えない。しかし、グランド・オペラとサロン音楽全盛のパリでは、ウケは良くなくって、結局、ドイツで評価されている。“フランスのベートーヴェン”なんて呼び方があるように、正確にドイツ・ロマン派ではなくとも、彼の音楽を聴くにあたっては、ドイツ・ロマン派を聴くつもりでいればいい。もちろん、フランス音楽にありがちなエスプリってやつはどこにもない。
さて、交響曲だが、全部で4曲残している(多分)。現在、容易に手に入るのは、CPOから出ているゴリツキ&北ドイツ放送ハノーファー・フィルハーモニーぐらいだろう。で、おいらもそいつを聴いている。
おいらは、半分古典派くらいのつもりで聴いたんだが、そう言う心構えだとちょっと驚かされる。知悉していたと思い込んでいた近所に、隠れた名店があった…てな、驚き。ロマン派最初期と言えば、ベートーヴェンとシューベルトで語りつくされちゃいそうな時代であり、それで満足してしまっているおいらだが、見事に「んなわけねぇだろ」と突っ込みをいれられた感じだ。これが、スウェーデンとかなら、「うわっ!マニアックだなぁ」で終わるんだけど(とりあえず、ベルワルドには謝ろう)、ヨーロッパのど真ん中だと驚いちゃうんだ。未熟者なり、おいら。
4曲たらーっと流して聴いているんだが、これはもう、古典派の響きではない。見事にロマン派の響きだ。予定調和的な没個性をよしとする無難で居心地のいい音楽ではない。ドラマティックであり、他人と同じであることを良しとしない音楽だ。こういう音楽は貴族や富裕商人は好みそうにない。短調の曲も4曲中、2曲もある。中でも、2番の第1楽章の激情の渦巻く、ドラマティックな表現を聴けば、ロマン派の夜明けと暮れ行く古典派を実感することができるだろう。
上にベートーヴェンやシューベルトに近い響きのあると書いたが、正確にはベートーヴェンよりもシューベルトに近いと思うのだ。流麗な歌心なんかは、ちょっとベートーヴェン離れしている(ちなみに、おいらが聴いていてふと思い出したのは、シューベルトの交響曲第4番)。もしこの曲が、なんかの間違いでシューベルトの交響曲ってことになっていたら、今頃、大量のCDが出ていたろうに!ってほど、酷似はしていないけど(笑)。ドイツで評価されたとはいえ、フランスの作曲家なのだから、フランスの音楽家をはじめとして、も少し録音を出してもらえれば聴き比べができておもしろいんだけどなぁ。こういう珍曲の類は、誰かがやってしまうと、なかなか次の録音が出ないんだよねぇ。「初録音の快挙を逃した…。2番煎じはいやだ」となるんだろうか。
次は、オンスロウの残した作品の多くを占める室内楽を聴いてみたい。
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