昔、カゴメのアンナマンマのCMにつのだたかしのリュート演奏でシチリアーナと言う曲が使われていたことがあった。強烈なノスタルジー、リュートの紡ぎだす素朴な響き…この音楽をバックに「スローフードに、帰ろう」と文字で呼びかけるんだけど、これは美しかった(Youtube)。カゴメが「スローフードに、帰ろう」なんて言っていいのかどうかわからないけど、こういうセンスのいいCMばかりだったら、少しはTVを見る価値もあるってもんだが…。今も昔もTVってやつは…と話がずれた。
このシチリアーナ(ホントはスパニョレッタと言う曲)が気に入って、間もなく、はじめて『リュートのための古い歌と舞曲』を聴いた。この曲の第3集第3曲がこのシチリアーナだった。この発見は、とてもうれしくって、ロペス=コボスのCDを買ってきて何度も何度も聴いた。
『リュートのための古い歌と舞曲』と言えば、復古主義音楽家レスピーギの代表作。前述の通り第3集まであって、そこそこ長い曲になる。ただ、そのタイトルの通り、16世紀から17世紀ころのリュート曲を編曲してまとめたもので、曲順に作曲者の意図はあるにせよ、それぞれに特に脈絡はなくって小さな曲の寄せ集めと言った感じだ。もちろん、レスピーギの流麗なオーケストレーションは、流石に見事としか言いようがなく、古い音楽を実に心地よく聴かせてくれる。強烈な癒し。「クラシックって癒しだよね!」と単純に割り切りたい人にはお勧め。もちろん、こんな癒しの音楽はそんなにはないことを言い添えたいが。
さて、前振りが長くなった。昨日、新宿のタワーレコードに寄った際に、古楽コーナーで楽しそうな1枚を見つけた。タイトルは『16世紀の古いアリアと舞曲』、サブタイトルに「レスピーギ『リュートのための古い歌と舞曲』の原曲集」とある。こんな美味しそうなCDは滅多にあるまい。しかも、演奏者は、リュートにポール・オデット、ナイジェル・ノース、ヴァイオリンにジョン・ハロウェイとおいらでも知っているような古楽の有名奏者が出ている。買わないわけがない。家帰ってHMVで頼んだ方が安いかな…とか思う余地もなく、即買い。うー、損したかも。
さすがに、外れるはずもなく、とても素晴らしい企画だった。リュートに加えて、歌やヴァイオリンも入ってくるんだけど、その優しく柔らかいメロディの数々は、シンプルながら何とも美しくって、悶絶してしまう。スパニョレッタ(前述のシチリアーナ、レスピーギもシチリアーナと言うタイトルを用いている)も素敵な演奏。疲れた時、ぼんやりしたい時、あるいは、紅茶でも飲みながら本を読みたい時、この音楽を聴きながら、そっと古の優しい音楽に心を満たされてみよう。
お値段は、タワーレコードで1,700円台だったんだけど、今見たらHMV Onlineではマルチバイで1,000円切っている…。うー、やられた。まぁ、でも、3,000円出しても買う価値はあると思う。
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