メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のCDを買う。今更感満載の超有名曲。もう何枚目だろう?演奏は、ピンカス・ズッカーマンのヴァイオリンで、カルロ・マリア・ジュリーニ&ケルン放送交響楽団がバックを務めている。Profilレーベルのライヴ盤。音質で評判の良い、レーベルだが、これはいま一つ。
さて、演奏の方だが、これが実に味わい深い。1971年の録音なんだが、ジュリーニの指揮は既にのろい。1980年代以降、年老いてのろくなったというイメージがあったが、そうではなかったのか。えーと…1970年代以前の録音、何を持っていたか、ふと思い浮かばない。印象にないってことは、おいら的にはストライクゾーンではなかったのかな。とにかく、こんなにのろく、どっしりと構えたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のバックは聴いたことがない。
ズッカーマンの演奏も確りした音色で、なおかつ、妖艶。のろいバックの中、ゆったり歌い上げていく。ズッカーマンの響きが十分に堪能できる。ズッカーマンの演奏は、ヴォーン・ウィリアムズの『揚げ雲雀』を聴いて、気に入っていたんだが、それ以降はあまり熱心に聴いてこなかった。名前のせいだろうか?ズッカーマン、ズーカーマン。ピンカス。何か、美しい音楽が溢れてきそうな感じがしないんだよね~。俳優とかだったら良いかも。主演、ピンカス・ズッカーマン。
あ、話がずれた。演奏ね、演奏。聴きどころは、1楽章も良いが、やっぱ2楽章かな。切々と歌うあの美しいメロディ!個人的に好きな楽章なんだが、やっぱズッカーマンの音色でこのメロディは、よく酔える。泥酔。ジュリーニのどっしりとした構えは、貫禄があり過ぎるような気がしないでもないが。1楽章のラストや3楽章はあまり切れ味が良くない。この演奏を象徴しているようでもある。でも、まぁ、これもこれでありかと。ヒラリー・ハーンの快刀乱麻の演奏とは対照的な演奏だ。
ってなわけで、個性的で面白い演奏。ファースト・チョイスにはお勧めできないが、セカンド・チョイス以降ならお勧めできる範囲だ。ただ、前にも書いたけど、音質が…。1971年のライブ録音ならもう少し、状態の良いものが残っていなかったのか。なお、カップリングはドビュッシーの『海』。ジュリーニの十八番。
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