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2009年5月5日、東京国際フォーラムAホール-23時。5,000人を収容するこの“巨大すぎる”会場でミシェル・コルボは、清澄にして厳粛な響きを残して、マタイ受難曲を締めくくった。真夜中にもかかわらず、観客は熱狂的に喝采を贈り、彼の偉大なる芸術を讃えた。

こうしてラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2009は幕を閉じた。昨年、5日間開催されたこの音楽の祭典は、今年はたったの3日だけの開催となった。なぜ、そうなったのかは判らない。経済状況によるものなのだろうか。だとしたら、それは大変悲しいことだ。

以前紹介したスラットキンのインタビューを再掲載しよう。

「辛いときに人は音楽を必要とする。だから僕たちは演奏を続けなければならない。クライスラーが1万人を解雇すると発表したときも、すぐに無料コンサートを開いたんだ。それが彼らを救うとは言わない。でも、元気付けることはできた。みんな笑顔になってくれたよ」

そう。一見、音楽は無力だ。だけど、人々は音楽を聴いて、元気になれる。力が湧いてくる。そう言うこともある。閉塞的な社会だからって、どんどん閉塞していくんじゃ駄目なんだ。そう言うときに音楽があるのだから。

さて、色々あるにはあるけれど…今日は『マタイ受難曲』だけじゃなくて、『四季』も聴いた。ビオンディ&エウローパ・ガランテの演奏。全く響かないB7ホールと言う悪条件の中、素晴らしい演奏を聴かせてくれた。あの無駄に優雅にならない歌いまわし、自由自在でエキサイティングな音楽運び―CDで聴いた、あの異色の『四季』そのもの。それまで『四季』にまとわり付いていたイメージを払拭させる、衝撃的な演奏が目の前で展開されている。しかも、3,000円。

やっぱ、LFJはいい!来年は、是非、5日間開催で…!!

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