太陽王ルイ14世のミサを再現しよう!と言う興味深いプロジェクトを発見したので、行ってきた。会場は、関口の東京カテドラル聖マリア大聖堂。先日もミサに潜入してみたところだ。
前回は、出入り自由のミサと言うことでごそごそ物音がしたり、パイプ椅子のひっくり返る音がしたり、子供が遠吠えしたりで落ち着かなかった。今回は、有料の平日夜の公演。パイプ椅子もひっくり返らないし、狩りの合図もない。が!空調の音が…ゴォォォォォォォォォォォォォォ…マジか。でも、暑い。前回より人も少ないし、夜なのに、前回より断然暑い。一応、うるさくっちゃいけないってんで、弱めてはいるのだろう。しかし、騒々しくない分前回より空調の音を弱めても際立っちゃうのだ。たぶん、そんなところだろう。
この空調の音には、演奏会中悩まされるが、まずそれはさておいて、肝心のコンサート。演奏者は花井哲郎氏率いる古楽アンサンブル「コントラポント」。全く知らない団体。だって、おいらは古楽入門したて。超初心者。何気に、モダン楽器の世界より、オリジナル楽器の世界の方が日本人が活躍している、と言うことには気づきつつあるが。
演目はオール、ド・ラランド。ルイ14世に重宝されたフランス・バロックの巨匠。リュリと違って性格の良い人だったらしい。リュリがひど過ぎただけかもわからんが、性格の悪い方が有名になっちゃうと言う世の皮肉。演目は以下の通り。
1.グラン・モテ「ゆるされたものは幸い」
2.グラン・モテ「深き淵より」
―休憩―
3.「王の晩餐のためのサンフォニー」より第2ファンタジー或いはカプリス
4.「ヴェルサイユの泉」よりシャコンヌ
5.テ・デウム
ルイ14世は礼拝にミサ曲よりモテ(モテット)を好んだと言うことで、ド・ラランドが作曲したのも多くはモテ。プログラム・ノートによるとルイ14世の礼拝は約1時間で、その間にグラン・モテとプティ・モテが演奏されたそうだ(グラン・モテは大モテット、プティ・モテは小モテットくらいの感じでいいのかな?)。今回の演奏会はグラン・モテ2曲と当時としては大規模な宗教曲であるテ・デウム、更には晩餐のための音楽まで加わっているので、忠実に再現と言うわけではない。しかし、これだけ、当時を偲べる企画はまたとないだろう。
事前に音源を入手できたのは「許されたものは幸い」と「テ・デウム」の2曲。しかし、前半は、空調の音が妙に気になったのと、暑さでなかなか集中できず。あ、おいらが、ね。後半になって、空調をさらに落としたのか、音に慣れたのか、ようやく集中して聴けた。
印象に強かったのは、事前に聴けたと言うのもあるんだが、やはりテ・デウム。演奏会の事前告知やパンフレットでは「深き淵より」が目玉なようなことが書いてあったが、やっぱ豪奢で華麗なルイ14世の王宮に思いを馳せるならテ・デウムだろう。もちろん、「深き淵より」の祈りも捨てがたかったが、冒頭からポコポコ鳴るティンパニ(つっても、古楽器)に乗せられて壮麗に鳴り響くテ・デウムを目を瞑って聴いているとルイ14世の時代に軽くタイムスリップした気分になれて素敵なのだ。流麗に奏でられるコントラポントの演奏に身を任せて、心地よいひと時を過ごす。カテドラル教会の豊かな残響もこうした宗教音楽では、壮麗に響いて効果的。「王の晩餐のためのサンフォニー」と「ヴェルサイユの泉」よりシャコンヌも良かった。
終演は21時。19時スタートでたっぷり2時間ド・ラランドに浸った。
ところで、この教会だが、前に椿山荘、周囲は閑静な住宅街と言うことで、ほかのホールに行くのと比べると圧倒的に雰囲気が良い。綺麗な日没の空を眺めながら、会場に入る…粋だねぇ。
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