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「英国音楽?そんなものあるわけないだろう!」

ディーリアスの言葉である。ドイツ人の両親の元、イギリスはブラッドフォードに生まれ、若くして北欧を放浪、更に、フロリダでオレンジ農家を体験、その後、ライプツィヒで音楽を学び、ここでグリーグやハルヴォルセンと言ったノルウェーの作曲家に影響を受ける…こんな経歴ではディーリアスの中にイギリス音楽が存在するわけがない。ライプツィヒ後は、パリ近郊に活動拠点を置き、ミュシャ、ゴーギャン、ムンクと言った芸術家たちとも親交を結んでいる。まさに無国籍作曲家。

でも、自分の中では、ディーリアスはイギリス音楽の一部なのだ。どうしたって、近代イギリス音楽を語るとき、ディーリアスは外せないのだ。RCM(The Royal College of Music)出身の作曲家たちだって、ディーリアスの影響を受けている作曲家は少なからずいる。正統な後継者的存在と言うと誰なのかわからないけれども、ロマン派時代に音楽不毛の国と言われたイギリスから、19世紀後半になって出てきた近代イギリス音楽と言う少し国民主義にも似たテイストを持った作曲家集団の中で、ディーリアスの存在感は小さくない。

だから、こう思う。ディーリアスの中にイギリス音楽はなかったかもしれないけれども、ディーリアス自身がイギリス音楽の一端を創ったのではないか、と。それは、ヴォーン・ウィリアムズやフィンジ、ハウエルズの曲にありがちな自然賛歌、田園賛歌の中に見ることができる。

そんなわけかどうか、ディーリアスは、今日では、生前評価しなかったイギリスで人気がある。と言うか、録音するのは、イギリスの演奏家ばかりである。結局、イギリス人の感性に合う作曲家なのではないだろうか。その響きの中にどことなくイギリスの風景を髣髴とさせるのは、放浪の無国籍作曲家の心の奥に故郷の風景があったからではないだろうか。こうやって、ディーリアスを無理やりイギリスに縛り付けるのはよくないのかもしれないけれども…。

さて、そんなディーリアスの一面を切り取った面白い企画のCDが最近リリースされた。タイトルは、「ノルウェーのディーリアス」。指揮は、サー・アンドリュー・ディヴィス、オーケストラは、なんと、ノルウェーのベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団だ。

前述のとおり、ディーリアスは若いころにノルウェーの音楽に多大な影響を受けている。このCDに収められた曲は、そうしたノルウェー的なディーリアスを堪能できるものだ。イギリスの作曲家と言うことを少し忘れて聴いてみるといいかもしれない。メニューは以下の通り。

ノルウェーの婚礼の行列(原曲はグリーグ)
交響詩『頂にて』
ノルウェーの7つの歌より「王女」、「鳥の歌」
そりすべり(冬の夜)
ノルウェー組曲
春初めてのかっこうを聞いて
交響詩『おとぎ話』

北国のスケッチがないな…。とは言え、このプログラミングは素晴らしい。北国の涼しい風が吹き抜けていくような爽やかな曲ばかりだ。でも、ノルウェー的かと言うと、それはちょっとよくわからない。グリーグやハルヴォルセンにあるような、あの独特な心温まるノルウェー国民楽派の音楽とは全く違う。どうしたって、個性溢れるディーリアス・ワールドが広がってしまうのだ。もちろん、ノルウェーを題材にしているのだから、安易にイギリス音楽にこじつけてはいけないけれども、ノルウェーの作曲家はこんな曲書かないだろう。そんなことを考えなくても、ノルウェー組曲の情緒に浸りながら寒い冬の夜を過ごしてみるのはなかなか乙だ。結局は、イギリス音楽好きには堪らないCDになっている。

演奏も好感のもてるもの。ベルゲン・フィルの団員は、イギリス人の描いた祖国をどんな風に感じ演奏したんだろう。ジャケットの絵画も雰囲気が出ていて良い。



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