ローマ教皇ベネディクト16世、80歳のバースデー・コンサートのライブDVDを購入。ドゥダメル指揮シュトゥットガルト放送交響楽団にヒラリー・ハーンがソリストとして加わる。去年の4月の映像だ。当たり前だけど…若い。ドゥダメルが26歳で、ハーンが27歳。まさか、こうも早く自分とまったく同年代のコンビの音楽ソフトを買うことになるとは…。観客は、80歳になったベネディクト16世を中心に演奏家の祖父母世代ばかり。ぱっと見、若くても、せいぜい親世代。オーケストラも、まぁ、ドイツの一流楽団だからにして、決して若くない。主役ばかり若い。この環境で、お二方とも堂々たるもの。才能ゆえの自信なんだろな。
演奏は、いろんな意味でピチピチ。ハーンの演奏は、繊細かつ、緻密。ヴァイオリンが武器に見えてくるオイストラフとは正反対だ。オイストラフの演奏姿は、弓が日本刀に見えてくる。危険。対して、ハーンのヴァイオリンは、ヴァイオリンそのもの。細やかさと清廉さを併せ持った響きが素敵だ。こういうモーツァルトも良いな…と言うか、モーツァルトの曲はどれも青年が書いたものなのだから、こういう若い人たちの演奏こそ、正統なのかもしれない。『新世界』もしびれる演奏。ドゥダメルの指揮はローマ教皇の80歳の誕生日にまったくそぐわない、破竹の勢いを感じさせるもの。疾風怒濤。ここ最近、欧米の超一流楽団を振りまくっている彼に、いまや怖いものはないのか。クソ度胸もあるんだろう。無敵なり、ベネズエラ・ハングリー精神。
最後にひとつだけ。ドゥダメルって、映像を見ると映画『アマデウス』のモーツァルト役の人に似ている気がする。写真じゃ全然思わなかったんだけどなぁ。あのラトル張りのフサフサ髪の毛をそのまま利用して、『アマデウス』をリメイクしてみよう!…とか、ないね。
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