ホテルが駅から遠い、とぼやいたけど、実は、観光地のど真ん中にあったことに気付いた。観光地…つうか、ずばり言ってしまうとカレル橋。地図を見た時はそうは感じなかったんだけど、歩いてみるとすぐ近く。10分もあるかない。お城はもっと近い。要するにカレル橋とお城の間にあるのだ。道理周りがお土産屋さんばかりなわけだ。つっても、便利ではなくって、毎度毎度ながーい石畳の坂を上ってくるのは苦痛。石畳って見た目は良いんだけど、バリアフリーの真逆だからなぁ。カートなんか引いた日にゃ…。
さて、今日は、のんびり出かけたにもかかわらず、一気に行った。午前中でムハ(ミュシャ)美術館、ドヴォルザーク博物館。この2人、チェコを代表する芸術家なのに、それぞれのミュージアムはとても小さい。昼食に罠だと判っていながら寿司を食べて悶絶。午後は、市民会館、火薬塔から始まる王の道を歩く。途中にある旧市庁舎塔からの景色は絶品。広場を見下ろす写真は、CDのジャケットなんかでも見かける定番写真。って、ホントはビエロフラーヴェクのこのCDを入手してからずっと気になっていた景色なのだ。見ることが出来てよかった!
王の道をそのまま歩いて、カレル橋経由でホテルへ。いったん休憩。夕方になって、夜景撮影をしつつ、本日の公演会場、国民劇場へ。
国民劇場と言う名前の通り、いくつかのホールがあって、イベントをやっているらしいんだけれども、やっぱ、メインはオペラ。ちなみにここはチェコ国民がチェコ国民のためにチェコオペラを演奏することを目的として、チェコ国民の募金によって建てられた。ナショナリズム300%。こけら落しはスメタナの『リブシェ』。と言うことで、カレル橋の袂からスメタナの像が真っ直ぐにこの劇場を見つめている。今は、色んなオペラをやっているがそれでも演目はチェコものが多い。ちなみに、プラハにはもう一つ、国立歌劇場と言うのがあって、こちらはドイツ人が建てたもの。何をやっているかは…知らない。あんま興味ない。
さて、本日の演目は…マルティヌーの『聖母マリアの奇跡』。えーと。超マイナー。マルティヌーはメジャーかもしれないが、このオペラ、多分、録音1つしかないんじゃないかな?ビエロフラーヴェクがプラハ響振ったやつ。これが世界初録音でその後は録音はないと思う。
もちろん、そのCDを持っているんだけど、音楽は多少知っていてもストーリーは知らない。まぁ、いっか。ちなみに今日の指揮者もビエロフラーヴェク。今や世界的大指揮者だよねー、楽しみだよねー、と思っていたら、本日の公演はアシスタントの方だった。爽やかな好青年。どう考えてもビエロフラーヴェクの大好物の演目を、頑張って振っていた。つっても、音楽の監修はすべてビエロフラーヴェク御大がやっている。こんな大曲、なかなか若手一人では難しいのかも。
このオペラはその名の通り、宗教色が強いものなんだけど、舞台は結構俗っぽい。新古典主義者マルティヌーの独特のリズム感が、緊迫感を生み出し、劇場を揺るがしていく。合唱団がオペラ座の2階席、3階席を陣取って歌っているので、音響的にも音楽のど真ん中に観客がいる感じになって迫力満点。最後は、「キリエ・エレイソン」って叫んでいたので、ちょいミサっぽい大合唱で終幕。出演者の数も相当のもので、これは大変な曲だったんだなぁ、と実感。多分、日本初演はまだじゃないだろか。
歌手陣も粒揃い。珍しい演目を上質の演奏で楽しめた満足感に満たされて、劇場の外に出たのは22時過ぎ。パパッと食事をして、ホテルに戻ったのは23時過ぎ。外国で夜歩きは危険と言われても…。音楽好きには厳しいな。
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