さらば~、プラハ~。
と言うことで、朝靄のカレル橋とヴルタヴァ川を横目にプラハ中央駅に猛ダッシュ。味わい深い石畳の道にカートを引っ掛けながら、半ギレ状態で予定の電車に飛び込む。地下鉄で行ってもよかったんだが、最後に景色を楽しみながら名残惜しげに去りたかったので、トラムを利用した。これは吉だったか、凶だったか。
乗った電車はウィーン行きの国際電車。ボヘミアの森を潜り抜け、草原を駆け抜けて、音楽の都に帰ってきた。1年振り。音楽を巡る旅には外せない街。たった1年なのにようやく帰ってこれたよー、と感無量。いかん、既にプラハもドレスデンもまた行きたくてしょうがない。今度はいつ行けるやら。
ウィーンに着いて、ホテル着いて、スーパー行って、一休みして…いざ出陣。早速、コンサート。本日は、ムジークフェラインでウィーン交響楽団の演奏会。楽友協会の主催ではないとかで、入手困難のコンサート。ムジークフェラインのチケットは業者さんに手配してもらうしかないんだけど、発売日前にもかかわらず、キャンセル待ち状態に。それでも、「取れる可能性が高い」と言う言葉通り、無事ゲットできた。毎度、頼り甲斐のある業者さんである。
さて、今回の指揮者は…ブロムシュテット!!しかも、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と交響曲第7番。ソリストはツェートマイアー。これはホントに凄い組み合わせだ。下手なウィーン・フィルの演奏会より行ってみたくなる内容でしょ?
まず、ヴァイオリン協奏曲。導入部を経て繊細でやや冷たい感じのするツェートマイアーのヴァイオリンが響き出すと、何やら不穏な空気。この感じ、一瞬、爽やかな感じがするんだが、曲が進みにつれ、その鋭利な響きは鋭さを増していき、独特な世界が広がっていく。ブロムシュテットも様子を見つつ、上手く合わせている。
カデンツァに入って、ツェートマイヤー節は強烈に炸裂する。多分、自作のカデンツァだと思う。叩きつけるような強奏から始まって、時に幾何学的に冷たく、時に激しく、演奏して行く。なんというか、ロマン派の作品とは思えないような独創的なカデンツァである。ケネディも真っ青の一品。こりゃ、賛否両論だな、と思っていたら隣の老女は気に入らないのか片手で頭を押さえて首を振っている。1楽章が終わった時点で自然発生的に拍手。客席のざわつきがなかなかおさまらない。2楽章、3楽章も独創的な世界が広がっていく。流石、コンツェントゥス・ムジクムにいただけある。
ベートーヴェンの交響曲第7番はブロムシュテットらしく、骨太で重厚な演奏。真っ向から勝負を挑んでいる正統派。前半のヴァイオリン協奏曲とは対照的な演奏。これだけの名曲をがっぷり四つで組んで、「やっぱすげぇな」と思わさせられる指揮者はそうはいない。やっぱ、今日においてはブロムシュテットは巨匠中の巨匠と言える数少ない存在なんだろうなぁ

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