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最近、古典派の作曲家にハマっている。正確に言うならモーツァルトの周辺の作曲家、である。モーツァルトは確かに音楽史上孤高の天才であるけれども、その周囲にはどんな音楽が流れていたんだろう?モーツァルトが、褒め称えたり、けなしたりした作曲家の音楽はどんななんだろうか?と、まぁ、そんな好奇心である。

で、最近、何回か聴いているのがヨゼフ・ミスリヴェチェク。チェコ生まれ、イタリア各地やミュンヘンで活躍した作曲家だ。モーツァルトはイタリアに旅行した際に面識を得たほか、ミュンヘンでも再会している。モーツァルトは旅先からの手紙でミスリヴェチェクの音楽を称賛しているだけでなく、その音楽にも多大な影響がみられる。と言うか、何も知らされないで、ミスリヴェチェクの交響曲を聴かされたら「モーツァルト?10番台後半~20番台真ん中くらいにあったっけか?」と間違っても、不思議ではない。

ところで、このミスリヴェチェクと言う名前、覚えにくい、言い難い…。イタリアでもそうだったらしくイタリアの人たちは「Il divino boemo(素晴らしきボヘミア人)」と呼んでいた。その渾名をタイトルとしたCDでこの作曲家を楽しんでいる。演奏はコンチェルト・ケルン。古典派の隠れた作曲家を録音しまくっているマニアック趣味な楽団だ。

マニアック趣味とは言え、「王道で勝負できないので、マイナーに活路を見出しました」と言う楽団ではない。演奏レベルは相当高い。冒頭から颯爽と突っ走る序曲にココロ、奪われる。この水準で歴史に埋もれかけた名曲を紹介してくれるとは、素晴らしすぎる。

収められているのは、序曲のほか、5曲のシンフォニアとコンチェルティーノ。1枚のCDにこれだけ納まっていることからも判るとおり、すべて短い曲だし、マニアックな存在であるが、親しみやすい曲調なので、誰にでも薦められるCDだ。あんまり、モーツァルト、モーツァルトと言うと、ちょっとミスリヴェチェクに可哀そうだけれども、モーツァルトが好きな人なら誰でも楽しむことができる作曲家だと思う。もっと多くの演奏家が取り上げてくれてもいいと思うんだけど…。


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