ジャヌカン…名前しか聴いたことなかった作曲家。でも、ルネサンス音楽では重要な作曲家らしいのだ。
と言うわけで、少し前に買っておいたCDを聴いている。ドミニク・ヴィス率いるアンサンブル・クレマン・ジャヌカンによるシャンソン集。レーベルは、ハルモニア・ムンディ・フランス。いつものようにHMFなら安心だろう…と思って買ったわけじゃない。流石に古楽オンチのおいらでもドミニク・ヴィスぐらいは知っている。3大テナーが流行っていた時に、3大カウンターテナーと言う、痛々しいパクリ企画をやっていたことがあったし(酔った勢いで出た企画だったそうだ)。時々、HMFは良く分からないことをやらかしてくれる…。
さて、シャンソンと言うと何だか、洒脱でポップな音楽を思い浮かべるかもしれないが、ルネサンスのシャンソンはそんなんじゃない。イタリアで言うところのルネサンス期のマドリガーレに近いものだ。と言っても、これと言ってルネサンス・シャンソンを規定するものはない。まぁ、なんだ、世俗歌…ってことでまとめておこう。しかし、ジャヌカンのシャンソンは世俗歌と言っても、自身が聖職者であったこともあって、教会で歌われて似合いそうな響きを持っている。世俗…とは言っても、決して、居酒屋で酔った勢いで歌いだしそうな音楽ではない。しかも、一部の曲はそれなりに鍛えられたアンサンブルが求められそうだ。
じゃぁ、教会音楽っぽいのかと言うとそれは全然違う。例えば、このCDの1曲目、タイトルが“女たちのおしゃべり”。そんなタイトルの教会音楽あるわけない。この曲、ペチャクチャとお喋りをする女性たちの様子を再現したもので、まぁ、なんとも賑やかで楽しい曲なのだ。ルネサンスのアカペラでこんな騒々しい曲って、ちょっと意外だ。このCDには収められていないけれども、有名な“鳥の歌”も同傾向の音楽。ピーチク、パーチク騒ぎ立てる小鳥たちの様子を音楽にしたもの。しかも、歌詞は全く意味のないものばかり。それから、“狩りの歌”!!これはちょっと笑ってしまう。動物のものまね(?)的な怪しい歌がちょいちょい出てくる。こんな描写的な音楽がルネサンス音楽に存在したのは、中途半端にルネサンス音楽を聴いている身にはビックリだ。
ルネサンスの時代を教会音楽とシンガーソングライター的な音楽、それに口承で伝わってきた吟遊詩人の歌だけだと思ってはいけない。まだまだ色々ありそうだ。ルネサンスの音楽探求はまだまだまだまだまだまだ続く…。
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