ディーリアスのヴァイオリン・ソナタ、メニューインの演奏があった。このCD2枚組みになっていて、見覚えのないスペルの演奏家が1枚目でメニューインの伴奏をつとめてヴァイオリン・ソナタを、2枚目でボーンマス・シンフォニエッタを振って管弦楽曲集を演奏している。なんだ?だれだ?買おうか少し躊躇して、ふと気づいた。
Eric Fenby
エリック・フェンビー!!フェンビーじゃないか!!指揮者とか、ピアニストとか、そんなこと考えていたから、「誰だ、これ?」になってしまったわけだ。ディーリアスって考えれば、フェンビーは権威的存在。何つっても、晩年のディーリアスに付きっ切りで作曲活動を手伝ったのだ。フェンビーの演奏は作曲家の代弁だと考えても差し支えない。そんくらいの人。ビーチャムも、ディーリアスの悪友として、深い付き合いをしていたけれども、フェンビーはその比ではない。即、買い。
と、言うわけで、ワクワクドキドキで聴いてみる。ふうむ。たとえ、作曲家の自作自演であろうと、決してベスト盤にはならない―と言うことだ。我々は作曲家の自作自演を聴くとき、何を期待しているかと言えば、最高の演奏ではなく、作曲家の本来の意図である。最高の演奏は専門家に任せればいいのである。
で、フェンビーの演奏だけど、作曲家の代弁と考えれば、これはこれで大変参考になるものかもしれない。だけど、前述のとおり、純粋に楽しむための演奏としては、ほかにもたくさんあると思う。ラ・カリンダなんか、もっと滑らかにスイスイと進んでいく演奏が好みなんだけどなぁ。ま、ま、好みの問題。
まぁ、メニューインの演奏で、ディーリアスのヴァイオリン・ソナタを楽しめるし、買って損のないCDではある。
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