昔の作曲家って、自作のメロディを流用するだけじゃなくて、他人のメロディをパクッていることがよくある。あのベートーヴェンですら他人のメロディの引用がある。運命の動機も実は、祖父が書いたものだと言う説を聞いたことがあるし、モーツァルトの曲からの引用もいくつかある。知ったかぶって、ちょっと紹介してみよう。
一番有名なのは、第九の終楽章の、あのすっごく有名なメロディ。モーツァルトが19歳頃に作曲したミゼリコルディアス・ドミニ(Misericordias Domini)K.222(205a)に酷似している。とは言え、サラサラと清澄に流れるモーツァルトと第九ではあまりにも印象が違うけど。(こちらで確認してみて!→Youtube)
あとは、オペラ『バスティアンとバスティエンヌ』の序曲とそっくりな交響曲第3番『英雄』の冒頭も有名じゃないかな。これもびっくりするくらい似ている。『英雄』は、ピアノ・ソナタ第8番K.310の第1楽章からも終楽章にそっくりなメロディを引用している。(『バスティアンとバスティエンヌ』序曲はこちら→Youtube)
もちろん、これらの引用があるからと言って、ベートーヴェンの作品が「盗作ばかりのショボイ作品」と言うわけではない。正直、ミゼリコルディアス・ドミニだけでは、あのメロディは世の中にそんなには広がらなかっただろう。ベートーヴェンによって進化を遂げた、と考えた方がしっくりくる。もちろん、モーツァルトだって、誰かの作品を拝借している可能性はある。
古典派…と言うと、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンの間で誰が誰のをパクッたと言う話になりがちだけれども、古典派にだって作曲家は大量にいた。と言うか、各地の宮廷楽長クラスは大抵作曲をしていただろうし、その中で、歴史の中に埋もれてしまった作曲家だってたくさんいるはず、と言うか、99.9%は埋もれてしまっているだろう。そう言う人のをパクッたかどうかは確認することすらできない。
きっと古典派のこの時代は、わりと大らかで、そう言う細かいことを言う人はあまりいなかったんじゃなかろか。現代の尺度で言えば、パクるなんてけしからん!ってことになるんだけどね。まぁ、録音媒体もなかったわけで気付く人も少なかったのかなぁ?ま、良けりゃいい。おいらは、それだけなんだけどね。
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