うーん、買ってしまった。フルニエの無伴奏チェロ組曲、1972年東京ライブ盤。値下がりして、1枚1,050円、全曲買っても2,100円だしね。つか、2,750円が1,050円に値下がりって、なんなのだ。メーカーの在庫処分のせいか、主だったCDショップでは軒並み1,050円。これは廃盤の前兆。しかも、レーベルごとドロンする可能性も…。TDKだから豪快な消え方はしないだろうけど、なんだか不安だ。クラシックじゃ新参だし、数点リリースしているだけだから、安定的な供給はもとから期待はできないだろう。まぁ、あくまでも推測の域は出ないけど、買いどきなのは確か。
このCDはTDKオリジナル・コンサート・セレクションと言うシリーズからのもの。1970年代~80年代に掛けて、FM東京で放送された来日演奏家のライブ音源のCD化しているシリーズである。ライヴの放送音源とは言え、音質は優秀。しかも、このCDでは、フルニエの肉声が聞ける。無伴奏チェロ組曲のフルニエの簡単な解説と解釈である。多分放送用に収録されたものだろう。英語の解説の上に日本語の吹き替えが乗っかっている。その吹き替えが、何とも時代を感じさせるような感じで、面白い。
さて、肝心の中身だけれども、これがなかなか素晴らしい。先日買ってきた、アルヒーフのスタジオ録音盤に比べると、より柔らかい響きになっているようだ。録音年代の差は10年、アルヒーフ盤の方が古い。若さゆえの逞しさもあるのだろうか。TDK盤の方に老いての味わい深さはある。あとは、スタジオ録音とライヴ録音の違いは大きい(CDの帯には、フルニエはライヴ録音が少ないようなことが書かれていたが、近年、放送用音源のCD化など古いライヴ音源がだいぶ出てきたので、そう言う感は薄い)。やはり、どの演奏家のものでもそうだけれども、ライヴ演奏での緊迫感はスタジオ録音ではかなわない。観客を前にして、見せる演奏家の気迫を感じることができるのだ。ただ、演奏に瑕はできやすいので、完成度の高い演奏ならスタジオ盤を求めるべき。おいらは…ライヴ派。ここで聴くフルニエの演奏も、品位のある演奏の中に、熱を感じることができる。
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