映画はあまり見ないんだけど、楽しみにしている映画がひとつだけある。『剱岳 点の記』と言う新田次郎原作のものだ。今年6月20日公開予定。残念ながら新田次郎と言うと『槍ヶ岳開山』しか読んだことないけど、巨大なスクリーンに浮かぶ立山連峰の雄々しい姿…見ものかも。
山好きとしては、伝説的な人物として知られている宇治長次郎(香川照之)、日本山岳会創設者の一人で日本アルプスという言葉をわが国に定着させた小島烏水(仲村トオル)、小島の盟友岡野金次郎(小市慢太郎)…明治大正期のホンキで山が遠かった時代、登山を信仰から開放した人たちの記録がこんなに大々的に公開されるとは嬉しいばかりだ。
おいらも以前、明治・大正・昭和初期くらいの先達の本はだいぶ読んで感化されたので、思い入れはある。ウエストンとか、小暮理太郎とか、田辺重治とか…それは、もう戦後の登山とは全然違う冒険的な登山だった。だから、ただの記録がすっごく面白い。あの山が?こんな原始的なの?って。
前述の小島烏水の『日本アルプス』も楽しい。武田久吉に言わせると他人の体験談もパクッた胡散臭い記録らしいけど(実際胡散臭い人物だったのだろう。仲村トオルを見たときはおいらの印象とは真逆すぎてびっくりした)、当時の登山を知っている人ならではの生々しい文章が魅力的だったりする。今では気楽に登ることが出来る山々―。それを四苦八苦して登っていく。時にはライチョウを喰らい、這い松を燃やす。残忍だ!ってことで、今じゃ考えられないけど、それだけ自然は豊かで魅力的だったのだ。
今は道も出来奥深い山々もだいぶ身近になった。とは言え、例えば、北アルプスの最奥にある水晶岳の山頂に立ってみれば、きっと、その頃と大して景色が変わっていないことに気付かされる。人間の些細な悪戯など殆ど感じさせられることはない。自然は偉大だ。
…と、言うわけで、おいらが数年前に行った剱沢と剱岳の写真を。ゴールデン・ウィークに行ったのだけれども、この年はだいぶ雪が少なくて…。こんな感じになった。よく見ると後ろには白馬をはじめとする後ろ立山連峰の連なりも見られる。最高の展望台だ。ホント、剱岳ってカッコイイ!!
でも、見ての通り危険な山なので、映画見て気軽に「登ってみたい!!」と思わないこと。最近、剱岳もなめられて随分と事故が多いようなので。そこんところは心配。
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