Jacob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy→メンデルスゾーン生誕200周年。大好きな作曲家のアニバーサリーなイヤー。放っておくテはない。と言うわけで…シリーズ的に1曲ずつ雑感等を書こうと思う。Felix Mendelssohn Bartholdyの頭文字と生誕200周年の200で、FMB200と言うシリーズタイトル。記事の題名にFMB200と書いてあったら、このシリーズ。
で、さて、今日は、メンデルスゾーンに対する全体的な雑感。の前に、復習的意味合いで、メンデルスゾーンと言う作曲家の基礎知識の整理(もちろん、自分のため(汗))。
メンデルスゾーンは1809年、ハンブルクに生まれた。祖父モーゼスは著名な哲学者、父アブラハムは銀行家と言う大変恵まれた家庭であった。父の代でキリスト教に改宗しているが、ユダヤ人の家系である。そのため、ナチス統制下のドイツでは、マーラー、マイアベーアと共に演奏が禁止されていた(3M運動)。
豊かな環境の下、姉ファニーと共に音楽を志したフェリックスは早くも11歳のときに、最初のオペラを作曲、さらに15歳で最初の本格的な交響曲(第1番)を作曲している。さらに、16歳で弦楽八重奏曲、17歳で序曲『真夏の夜の夢』を作曲しているが、ともに、名曲として今も評価されているものである。2番目の交響曲である第5番『宗教改革』は21歳のときの作品、続く、3番目の交響曲である第4番『イタリア』は、22歳で着手され、24歳のときに完成している。とんでもない天才である。
20代後半から30代前半は、作曲家として若干低調にみえるが、30代半ば~後半には、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第3番『スコットランド』、オラトリオ『エリア』、劇音楽『真夏の夜の夢』などの名曲を次々と発表していった。ところが、1847年、体調を崩していたフェリックスは、姉ファニーの訃報のショックと相俟って、この世を去ってしまう。弱冠38歳であった。
ところで、メンデルスゾーンは、作曲だけにとどまらず、指揮者としては、指揮棒を使う現在の指揮法を確立させているし、20歳の時にはJ.S.バッハのマタイ受難曲を復活させ、19世紀におけるJ.S.バッハ復興の端緒を作っている。また、ピアニスト、オルガニストとしても活躍。趣味ではあったが、水彩画でも非凡な才能を示したと言う。20歳の頃には既に大作曲家…。
20歳でマタイ復活公演、21歳で『宗教改革』…今の世の中だったら、音大生と言う年齢。こんなんが、学生にいたらどうなんだろう?とか、考えてしまう。教授もたいそう大変なことだろう。面目丸潰れ。といっても、まぁ、今の世の中ではこのレベルの作曲家は出てきそうにない。そういうシステム、何じゃないかな?
さてさて、以上がメンデルスゾーン概要。学校の授業で習いそうなバイオグラフィ。以下雑感。
前にも書いたとおり、父親が銀行家と言うことで、メンデルスゾーンは大変裕福な家庭に生まれ育った。更に、38歳で没していると言うこともあり、全作品、若書きである。よって…と言うか、こう言った先入観を持って聴いてみると、実にこの作曲家の作品は屈託なく、明るく爽快である。かと言って、軽いわけではなくて、高揚感を誘う煽ってくるようなテンポもこの作曲家の特徴である。なんと言うか、快晴、強風、新緑の高原にいるような感じ…と言えばいいのだろうか。脂っこくはないんだけど、聴き応えがあって、それでいて、耳障りがいい。だから飽きない。
天才の成す業。神の子か、悪魔に魂を売ったか。ではあるけれども、と言って、変に才気走ったような感じは薄い。ゲーテがモーツァルトについて語ったとされる、「悪魔にからかわれている」感も絶無。曲想も、さほどに深刻ではない。眉間に皺を寄せて、考えるような曲は少ない。と言うより、多分、ない。好青年感満載。だって、『イタリア』は明るくのびやかに南欧の燦々とした太陽を感じさせるし、『宗教改革』はストレートに敬虔な音楽。そして、どの曲も、やたらめったらとメロディが流麗、綺麗。メロディメーカーと言っても、スラブ的なドヴォルザークや濃厚なチャイコフスキーとはまったく違う。流れるようだったり、さらりと歌ったり。
故に、重厚なドイツ・ロマン派の中ではちょっと異端。ベートーヴェンの普及にだいぶがんばったらしいけど、ベートーヴェンの後継者はなんてったって、ブラームス。超重厚、眉間に縦皺たっぷり。苦悩から歓喜へ!!ってやつ。メンデルスゾーンの音楽に苦悩はない(言い過ぎか?)。で、わが国では、ベートーヴェン→ブラームスの重厚路線のドイツ・ロマン派が人気なのだ。よって、メンデルスゾーンは人気ない。結婚式のときに鳴り響くばかり。折角の生誕200周年、大々的に色んなところでやってもらいたいものである。すべて若書きなんだから、30代までの若者にも共感を持って聴けるはず。
さて、最後に、メンデルスゾーンを得意とする指揮者を交響曲全集を完成させている指揮者中心にざらっとみてみよう。まずは、なんと言っても、ドホナーニとアバドか。実は、仲が悪いとも聞いたけど…今はどうなのか。とにかく、メンデルスゾーンの交響曲全集と言えば、この2人だ。カラヤンは何でもやるからメンデルスゾーンもやっておきました、って感じ。個人的にはミスマッチな作曲家だと思う。カラヤンの響きにメンデルスゾーンは、邪道。フロールは、柔らかいヨーロピアン・スタイル。優しいけど、それほど勢いはない。メンデルスゾーンの綺麗な部分に重点を置いた演奏。マークも美しい演奏をしてくれる。アシュケナージもスタンダード足りうる演奏かと思う。あ、あとメンデルスゾーンのオーケストラ、ゲヴァントハウス管弦楽団を長く率いたマズアも忘れちゃいけないか…。よりどりみどりで、「好きな指揮者でどうぞ」と言える。
と言うわけで、序章ちっくにFMB200第0回でした(←ブ、ブルックナーを意識したのだ)。
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