運動会で走るための曲ってのがあった。徒競走とか、リレーのときに流れ出す定番音楽。曲名は知らないけど、流れ出すと、あ、急いでいかないと、とか、走らないと、って思わせるような、セコイあの曲。懐かしさはあるけれども、「あの音楽って?」とも疑問に思わないほど、運動会ための曲になっていた曲。
でも、キチンとした曲名があって、別に運動会のために書かれた音楽ではないのだ。以下が、それ(↓)。
カバレフスキー:組曲『道化師』よりギャロップ
ネッケ:クシコスの郵便馬車
この2曲、幼稚園を卒園していればとりあえず、聴いたことはあるはずだ。だけれども、曲名はクラヲタでも知らなかったりする。実際、おいらはしばらく知らなかった。おいらが知らなかっただけかもだけど、実際、録音はさほど多くないと思う。早くディープなクラヲタになりたくて慌てて、ブルックナーとか、マーラーみたいな重厚路線に突っ込んでいくと出会うきっかけを失ってしまう超軽量級のライト・ミュージックである。でも、こういうの聴き逃していると損した気分になるし、出会うと、なんか懐かしい気分になったりして、お得な感じにもなる。
で、この曲の存在をさりげなく教えてくれたのが、『チャールズ卿の音楽箱』と題されたCD。チャールズ卿とは、イギリスの名指揮者サー・チャールズ・グローヴズのこと。このCDにはⅠとⅡがあって、今回、2枚まとめて国内盤から1,500円で発売となった。内容は、Ⅰが、エルガーの行進曲『威風堂々』(全曲)、『愛の挨拶』、前述の組曲『道化師』、サン=サーンスの『動物の謝肉祭』、ヴォーン・ウィリアムズの『グリーンスリーヴスの主題による幻想曲』。Ⅱが、ルロイ・アンダーソンの曲や『クシスコの郵便馬車』を含めたライトな感じの名曲集。メジャーな作曲家の作品だけでなく、ネッケのほか、アイレンベルクなどのいわゆる“一発屋”の作品が選ばれているのが興味深い。
Ⅰ、Ⅱともに実に深刻さを感じさせない演奏が好印象。肩の力を抜いて聴いていてもよし、聴く気もなく流しておいてもよし。『威風堂々』なんか、バルビローリの重厚で、歌いまくる演奏を聴いている耳にはずいぶんあっさりとしたものに聴こえるが、こういうのも時にはいいかも。ちなみに、バルビローリ盤とはオーケストラが一緒なんだが…まるで違う演奏。『道化師』や『動物の謝肉祭』も力任せに聴衆を納得させるものでも、深く考え込んで深遠な演奏をする必要のある曲でもない。『愛の挨拶』もとても綺麗な仕上がり。ヴァイオリンの曲として知られているけれども、オーケストラでもこれだけ綺麗に演奏できる。
このCDを聴いて…グローヴズって、エンターテイナーだったのかな、とか思った。そう言えば、以前、東京武道館で『新世界』を演奏したときのライヴ音源がCD化されていたな。って、武道館ね…武道館。負けずに、だれかに、東京ドームで演奏してもらいましょう(笑)。
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