クラヲタの知り合いがあまりいないので確固としたこといえないけど、テンシュテットには結構熱狂的なファンが多いような気がする。ファンだけでなく、演奏家にも熱狂的なテンシュテット支持者って言うのがいて、例えば、ナイジェル・ケネディなんかは、志願してベートーヴェンとブラームスの協奏曲のバックを振ってもらって録音している。ケネディはどっちかと言うと線の細い演奏をするほうで、底を引き摺るようなテンシュテットの重厚な演奏にはどうなのかと思ってしまうが、これはこれでよかったりするから不思議なものだ。
さて、そんなわけでテンシュテット。テンシュテットと言えば、レパートリーは、クラシックの王道、ドイツ・ロマン派である。中でもマーラーを得意としたことは、有名だけれども、ロマン派の基本ベートーヴェンももちろん得意としていた。ちょっと前に出た北ドイツ放送響との交響曲第7番の録音も素晴らしいものだった。
北ドイツ放送響は、シュミット=イッセルシュテットやヴァントの指揮により、極めてドイツ王道的な重厚な録音を数多く残している。だからテンシュテットの指揮にもピッタリである。鈍重に轟々となるゲルマン魂…かといって、音楽が間延びするわけではなく、実に活き活きとしている。クライバーのようにスポーツ的な演奏も燃えるけれども、こういう真っ向からがっぷり四つに組んでくる演奏も燃える。カップリングは、モーツァルトの交響曲第41番。もちろん、古典派の作品だけれども、テンシュテットのゲルマン魂はここでも充分に鳴る。オリジナルだとか、考証学だとか…一切気にしない。全然優しくない、やわでもない。シンフォニックに鳴らす終楽章なんかもうガッツリ襲い掛かってくる。こういうモーツァルトもいいなぁと思わせてくれるからいい演奏なんだろう。なぜか、バイエルン放送響とは、交響曲第1番とか、交響曲第32番とか録音しちゃっているので、こちらも、興味があれば是非。演奏は同傾向で◎。

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