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『のだめカンタービレ』で良いところ突いているな、と思ったのが、千秋真一の師匠シュトレーゼマン。変な人。そう、巨匠は変である―と言っては怒られるが、色んな逸話を聞いていると変な人は多い。特に、昔の人。今の人はそんな酷い話は聞かないけど、昔の人は面白かった酷かった。

と言うわけで、やっぱ、この人でしょ!オットー・クレンペラー。シュトレーゼマンなんてクレンペラーに比べればぬるすぎて、ちっとも面白くない。「現実は小説よりも奇なり」じゃないけど、クレンペラーは漫画以上に「奇」だった。人知を超えた。エピソードは、ウィキペディアに紹介丸投げ→
こちら。笑えないネタも多いけど、やっぱ、この人の人生はネタの宝庫。なぜ、出世できたのか―わからない。そして、音楽家と言うより、人間としてどうかと言う奴が、どうしてあんな素晴らしい音楽を演奏できたのか。神秘である。

特にどうかと思わされるエピソードが、これ↓

「アメリカ時代、ソプラノ歌手の自宅に無理矢理押し入ろうとして、もめごとになった。その後、友人たちの尽力でサナトリウムに入ることになったが、すぐさま逃走し、この一件は「ニューヨークタイムズ
」の一面記事となった(サブタイトルは「クレンペラー逃亡す!性犯罪に走る危険あり!」)。これら一連のスキャンダルにより、アメリカにおけるクレンペラーの評判は完全に失墜した。」(ウィキペディアより)

「クレンペラー逃亡す!性犯罪に走る危険あり!」って、どんだけの扱いだ?しかも、ニューヨークタイムズの一面。どうしようもない。

晩年、遅いテンポの中に、スケールの大きな演奏をしたことで、ほぼ神格化されたクレンペラーだが、それは、度重なる災難を乗り越えた結果、身体的に早い動きができなくなり、自然と音楽が遅くなっただけ、と言うみもふたもない説を聞いたことがある。

クレンペラー以外では、カラヤンのトイレに落書きしたハンス・クナッパーツブッシュや大量のポルノ写真を持っていて、空港で捕まったユージン・グーセンスなんかも、どうしようもない人たちである。もう、ホント、どれだけクラシック=高尚と言うイメージが間違っているか、判るような話。

反面、現在、そういうエピソードまみれの指揮者が少なくなったことも、また、寂しいことである。そういうのが許されない時代なんだろうなぁ~。指揮台指揮棒で叩いて、ウィーンの観客黙らせているジョージ・セルの無愛想な演奏会のDVDでも観て、昔を偲ぶことにしましょう。

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