ホウホウ、ハイドンの交響曲第73番『狩』の最終楽章は、歌劇『報われた誠意』序曲の流用なのか。この間のコンサートでアンコールに応えて、アダム・フィッシャーが楽しく演奏してくれた曲だ。懐かしく思って、CDを引っ張り出して聴いてみる。趣向を凝らした演出と共に音楽が蘇って来る…。
考えてみるとハイドンの交響曲の解説書ってあまり見たことがない。例えあったとしても包括的に書かれていて、100余りもある珠玉の作品一つ一つを丁寧に解説したものは見たことがない。強いて近しいものと言えば、以前ONTOMO MOOKから出ていた『交響曲読本』(音楽之友社、1995年)くらいであるが、この本も全曲網羅されているわけではない。
そんなわけで、ハイドンの交響曲全集のCDを買ったとしても大抵は詳細な解説書はついていないので、乏しい知識のまま聴かなくてはならなくなる。しかし!さすがは、没後200年の2009年、『ハイドン106の交響曲を聴く』(井上太郎著、春秋社、2009年)と言う有り難いバイブルが出版された。普通のハードカバーの本だけれども、「はじめに」でハイドンの交響曲の概略を触れた後は淡々とした作品解説が106曲分続く。変な感情移入も少なめなので、助かる本だ。ハイドンの交響曲全集を購入したら、併せて買っておいて損のない1冊だと思う。
ただし、あくまでも良くも悪くもガイドブック的なので過度な期待はしないほうがいい。前述のONTOMO MOOK+αくらい。途中のコラム的な部分も面白い逸話と言うよりお堅い感じのする内容。ハイドンの曲はユーモアがあるけど、この本は「お堅い」。
ちなみに、冒頭の話もこの本をサラサラと捲っていて見つけたこと。色んな知識を身につけて、本書曰くの「未開の宝庫」であるハイドンの交響曲をこのバイブルを片手に「自分の宝庫」にしていきたいなぁ。
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