当たり前のことだけれども、ヨーロッパは西洋音楽の本場である。で、本場の聴衆はマナーが良いかって言うと、そう言うわけではない。ハッキリ言って、日本の聴衆のマナーの良さは特筆に値する。しかし、故に良いと言うことにはならないと思う。小さな物音一つに敏感に反応する様は少々神経質に過ぎると思う。
おいらが聴いたヨーロッパの聴衆ときたら、鼻は遠慮なくかむし、咳も抑えようとしようともしない。楽章間でセルがウィーンの聴衆を睨みつけている映像があるが、それでも別に彼らの態度が良くなることはない。我が道を行く。「すげー!」と思えば、楽章間でも平気で拍手をするし、連れと感想を述べ合ってガヤガヤ騒ぎ立てる。ルドルフィヌムでの演奏会では、楽章間での拍手で、老女がブチ切れてチェコ語で何か叫んでいた。もちろん、叫ぶ方も叫ぶ方で吹っ飛んでいると思うんだが…。
よく来日演奏家が「日本の聴衆は素晴らしい!」と言うことがあるが、なるほど、演奏家にとっては集中しやすい環境なんだろう。単なるリップサービスではないことが判る。
しかし、これだけは、ヨーロッパの方が、良いと思うのは、クロークの活用と道のあけ方である。前者についてはこのブログで何度か言及しているのだけれども、改めて訴えたい。でかい荷物を狭い客席に持ち込まないでくれ!と。仕事帰りにコートとビジネスバックを座席に持ち込むと、まず、ビジネスバックは椅子の下、コートは膝の上に置くことになる。もう一杯一杯。ヨーロッパのホールでは、間違ってクロークに荷物を預けないで入り口に向かうと、クロークはあっちだよ!と言われる。これは正しい。正しすぎる。日本のホールはクロークにチップを払う必要もないんだから、是非、預けて欲しいものだ。
もう一つ、道のあけ方。これは荷物の持ち込みと関係するかもしれない。ヨーロッパでは、奥の椅子に進みたい人が来ると必ず手前の人が立ちあがって、道を作ってあげる。日本は、そう言う人も多いものの、膝をずらすだけの人も多い。だってそりゃそうだ。椅子の下にでかい鞄があって、膝の上にコートがあったら、椅子を上げてどいてあげることは難しい。荷物をクロークに預けて、奥の椅子の人が入ってきたら、立ちあがって道を開けてあげる。このマナー浸透すると日本の聴衆の完成度は相当高いものになるんじゃないかな。
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