4月馬鹿、エイプリルフールも自粛となったようだ。ニュースはこちら。地震発生以降、随分とデマが出回っていたけど、4月1日は自粛。マスコミだけは盛大に怪しげな報道を繰り返していて、先日は、「4月上旬にディズニーランド再開へ」なんて、冗談も楽しげに流していた。「ディズニーランドなにやってんだよ!電気使い過ぎなんだよ!」って批難の視線が集まった。ただでさえ、ピリピリしているので、効果抜群。オリエンタルランドが必死に否定しているのが可哀想。
まぁ、嘘じゃないんだが、こんなどっきりも仕掛けてきたり、テレビも口では「大丈夫ですよ~、大丈夫ですよ~」と言いながら、不安をあおるような映像を流している。空の棚とか、買い占めている客のインタビューとか…。まさか、米が3月に取れると思っている人は少ないと思うんだが米がよく売れた。その他色々と売れまくってその結果、大量の食品廃棄物が出てくるんじゃないかと思う。実際、ゴミの日に賞味期限切れの菓子パンが大量に捨ててあったという話もあるし…。災害廃棄物だけで大変だっつうのにな。
しかし、これも悪いことばかりじゃないらしくって、こんなニュースも。カップラーメンと現状レベルの東京の水道水と長い目で見たらどっちの方が危険なんだろう、とかあんま考えない。「だって!テレビ観ていたら大変なことになっているじゃない!」ってな。節電の意味も込めて、TVは消そう!不安も解消されると思う。
さてさて、自粛自粛の世の中の流れだったわけだけど、最近は「自粛ばっかじゃ駄目だよ!経済回さないと」って向きも増えてきた。とは言え、東北の人たちが苦しんでいる時に、浮かれたことはしたくない。そんな時に良く使われる魔法の言葉「コンナトキダカラコソ」。あっつう間に状況を逆転させてしまう不思議なおまじないだ。
そんなわけで、おいらも「コンナトキダカラコソ」普通の生活を…って、おい!おいらの出費のほとんどはCD、コンサート、海外旅行なのであんま日本経済に影響ないじゃんね…。友達と食事に行っても結構安上がりに済ませちゃうしな~。
まぁ、あれだ、細かいことは気にしないで、タワーレコードにGO!
販売延期とかで久し振りに行った割に目新しいものは見つけられず。そんな中で、「おっ!」と思ったのがサー・アンドリュー・デイヴィスのディーリアス。オーケストラはBBC交響楽団。収録曲は、下記の通り。
古い黒人奴隷の歌による変奏曲『アパラチア』
合唱と管弦楽のための『高い丘の歌』
『アパラチア』あたまに「古い黒人奴隷の歌による」なんてのが付いているのは、今回初めて気が付いた。まぁ、黒人霊歌のことだよね。ディーリアスは、若い頃にふらふらしていて…いや、一生ふらふらしていたんだが、若い頃にフロリダの農場でふらふらしていたらしくって、黒人霊歌を採集していた(たぶん、真面目に働いてはいない気がする。だって、ディーリアスだもんね)。で、その成果が、この『アパラチア』や『フロリダ』組曲ってわけだ。
も一つ、『高い丘の歌』はノルウェーの印象を描いた作品。ディーリアスはノルウェー、つうか、北欧全般にもふらふらしていたことがあって、グリーグと面識を得たりもしている。まぁ、こんな風にいい加減な奴だったので、形式美を気にする人たちからは疎んじられる傾向があるようだ。
そんなわけで、ディーリアスの作品は、弟子のフェンビーや悪友のビーチャムの校訂版が多い。今回のCDはビーチャムによる校訂版。ビーチャムと言えば音楽で巨大な財産を投じた放蕩野郎である。その代り、ロンドン・フィル、ロイヤル・フィルを創設。今日までその功績を残す偉大な存在だ(ウィキペディアの画が面白い)。
久し振りにディーリアスのCDを買ったんだけど、やっぱ良いなぁ。『アパラチア』のイントロダクションのゆったりと遠くから響いてくるような遥かな響き(変な表現だな)、そして煌くようで大らかなオーケストラに乗ってディーリアス・ワールドが広がっていく。とろけますなぁ。よく水彩画のような音楽と言う向きがあるように、目の前に爽やかで清廉な一幅の絵が広がっていくような錯覚を覚えるのがディーリアスの特徴。この色彩感、淡く抽象的なものの確りと別世界に連れて行ってくれる風景描写が、ディーリアス好きにはたまらないのだ。一見するとイージーリスニングとか、サロンミュージックとか、そんな軽い見方をされることもあるけど、たぶん、そんな聴き方をしているとディーリアスの良さは全く判らずじまいになってしまうと思う。デイヴィスの悠揚たる指揮も聴きもの。
コンナトキダカラコソ!TVを消して、電気を消して、ディーリアスの音の絵画の世界に浸ってみるのもいいんじゃないかな?
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