無伴奏と言う言葉には、妙な魅力がある。例えば、ピアノやギター(またはリュート)の作品に無伴奏と言う言葉が付くだろうか。英語ではSoloと表記されるんだけれども、Sonata for Solo Pianoと表記されることはない。ところが、J.S.バッハのあの有名な曲は、英語でSonatas and Partitas for Solo Violin、日本語で無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータだ。寡聞ながらSoloも無伴奏もヴァイオリンとチェロでしか使っているのを見たことがない。何故に、敢えて、Soloなのか、無伴奏なのか。多くの場合、ヴァイオリンもチェロも何かしら伴奏が付く。オーケストラであったり、ピアノであったり、ギターであったり。4つの弦だけでは、複雑な音楽を奏でるのは難しい。だから伴奏が付く。
さて、ほかに誰かこう言うことをやっていないものか。探す気にもならなかったのだが、秋葉原のタワーレコードを歩いていたら、たまたま、1枚のCDを見つけることができた。タルティーニのThe Devil's Sonata and other worksと言うもの。悪魔のトリルを含む無伴奏ヴァイオリン作品集。アンドルー・マンゼがハルモニア・ムンディ・フランスに録音したもの。1997年の録音。名盤らしいけれども、おいらは知らなかった(汗)。マンゼと言えば、イングリッシュ・コンサートのコンマスで、ピノック退任後、音楽監督になった人物。バロック・ヴァイオリン奏者の大物中の大物だ。無謀に挑戦するには十分な実力者。