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『R40のクラシック』
2014/09/21 (Sun)
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『R40のクラシック』(飯尾洋一著/廣済堂新書/2013年)を読んでいる。読むのが遅いので、現在進行形だが、紹介してしまう。
サブタイトルに「作曲家はアラフォー時代をどう生き、どんな名曲を残したか」とあるように、有名作曲家30人の40歳前後にスポットを当てて、どんなふうに生きそこからどんな作品が生み出されたのかをわかりやすい文章で紹介してくれる。
飯尾さんの本は以前にも読んだことがあるんだけれども、はっきり言ってマニア向けではない。どちらかと言えば、「クラシックに興味があるんだけれども、どうやって入っていけばいいかわからない」と言う人が読むときっかけが掴めて、すんなりとクラシックの世界に入っていけるようにできている。そのきっかけが今回の、この本では「アラフォー」と言う親しみやすい現代語で集約されている。
「アラフォー」は著者の言うように、多くの作曲家にとって、成熟の時期だったり、大きな転換を迎えている時期である。これが「アラサー」だとまだ未熟で紹介するには気の引けるような作品しかない作曲家もいるだろうし、あまり年を取ってからの時期だと、変に小難しくなってしまって、マニア向けになってしまう。「アラフォー」は、あらゆる作曲家の同時期を切り取るにはちょうどいい時期なのだ。
読者の方に焦点を当てれば、「アラフォー」はクラシックに興味を持ち始める世代ではないだろうか。本当のところは別として、クラシックは、ちょっと大人な音楽と言うイメージが世に蔓延っている(と思う)。「クラシックなんてかったるくて聴いてらんないよ!」と言う若者が、「ちょっと大人の世界をのぞいてみようか」となるような、そんな感じ。その期待に応えられるような作品も多い。
こういった「アラフォー」の読者にとってみれば、「有名作曲家のアラフォー」と言うのは、ちょっと大人びていて、読んでみると親近感がわくような、そんなテーマだと思う。音楽の教室に飾ってあった、あの近寄り難い肖像画の人たちも、人間味溢れた生活を送っていたのだということが、よくわかる。天才もプライベートでは人間的な挫折をするし、努力家はコツコツと続けていたことが花開く。若かりし頃にだけスポットを当てていては出てこない人間臭さが滲み出てくる。
構成はそれぞれの作曲家ごとに、アラフォー時代の出来事と代表作、CDの紹介となっている。クラヲタであっても、30人も作曲家がいると興味のない人もいるわけで、何気に「ほー、そうなのか」と言う内容もあるし、「あ、これアラフォーか」と改めて気付かされることもある。深く掘り下げてこないが、一読の価値はあるだろう。おすすめのCDも最近のものが多く、著者の「今を聴いてほしい」と言う意図と自身の造詣の深さをうかがわせる。
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【本の話】
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