そのCD、タイトルは『SO FAR, SO CLOSE』と言う。和訳「とても遠く、とても近く」…内容はと言うと、バロック・ヴァイオリンとアコーディオンによるバロック音楽のソナタ集だ。演奏者は、バロック・ヴァイオリニストのアレッサンドロ・タンピエリとアコーディオン奏者のジョルジオ・デッラローレ。Incoerente Duoと言うコンビ名を付けている。「矛盾したデュオ」と言う意味だ。確信犯。
でも、自分の中では、ディーリアスはイギリス音楽の一部なのだ。どうしたって、近代イギリス音楽を語るとき、ディーリアスは外せないのだ。RCM(The Royal College of Music)出身の作曲家たちだって、ディーリアスの影響を受けている作曲家は少なからずいる。正統な後継者的存在と言うと誰なのかわからないけれども、ロマン派時代に音楽不毛の国と言われたイギリスから、19世紀後半になって出てきた近代イギリス音楽と言う少し国民主義にも似たテイストを持った作曲家集団の中で、ディーリアスの存在感は小さくない。