ゲルギエフ&ロンドン交響楽団の来日公演に行ってきた。演目は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲(諏訪内晶子)とマーラーの交響曲第1番『巨人』。19世紀末から20世紀初頭に活躍した、壮大な宇宙を感じさせる2人の作曲家を組んだ一夜。
こりゃ、面白そうだ!と早々にチケットをゲットしたわけだけれども、野暮用でギリギリにサントリーホールへ。席に着いて、ホッとしていると間もなく開演となった。
最初は、シベリウス。開演を待ち、静まり返った会場。壇上に楽団員が一人現れた。パラパラと拍手が起きる。が、なぜか一人だけ。彼はコントラバスを持って、苦笑い。会場にも笑いが巻き起こる。なんだったのだ?その後すぐにぞろぞろと団員が登場。
ここで、「やっぱり…」と後悔の念。前過ぎた…。3列目。真ん中ならソリストがよく見えて音響的にもいいんだけれども、どっちかに寄ってしまえば…。いっそ後ろの方が全然よい。ソリストが少し態勢を変えただけで、聴こえ方があっという間に変わってしまう。しかも、指揮者、ソリストはよく見えるものの、ほかは1stヴァイオリンばかり。せっかくの両翼配置もこれでは…。これ、S席にしていいのかなぁ。選んだのおいらだけど(汗)あんまり選択の余地がなかったのだ。
それでも、演奏は素晴らしかったと思う。いつも聴いているのが、オイストラフ&ロジェストヴェンスキーと言う豪快盤なので、線が細く感じられたけれども、パワフルなオーケストラを向こうに回して、集中力高く弾き切る様は圧巻だった。アンコールは、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番の第3曲。これも大変良かった。そう言えば、ヒラリー・ハーンもアンコールで無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータからの1曲を演奏していた。実を言うと、ヴァイオリンってソロの曲がそれほど多くない。だから、こういうところでアンコールとなれば、J.S.バッハの無伴奏ばかりになってしまうのだろう。ヴァイオリン協奏曲のコンサートに行く時は、この曲を知らずしていくのはもったいないかも。
休憩をはさんで、後半はメインのマーラー。やっぱ場所が場所なだけに、音響のバランスの悪さは相変わらず。1stから時計回りにチェロ、ヴィオラ、2ndと並んで、チェロの後方にコントラバスがぞろりと並ぶ。おいらは1st側なので、この並びだと低音がゴンゴン響いてくる。姿はチェロの数名が見えるだけで、ほとんど見えないのに…。金管も見えないところからバカスカ鳴ってくる。打楽器の力強さも凄い。たまにシンバルが上に持ち上がった時は見えたけど、これも全く見えないんだよなぁ。
それにしても、ロンドン交響楽団の音とはこんなにも煌びやかなものだったのか。生で聴いて改めて痛感。絢爛に、しかも、豪快に鳴り響く。これはすごく魅力的なサウンドだ。ゲルギエフの指揮もダイナミックで、強力な『巨人』が紡がれていく。ただ、ゲルギエフの強烈な個性はやや影を潜めていたかもしれない。どちらかと言えば、正攻法か。とは言え、終楽章が轟音を立てて終わった時、得も言われぬ高揚感を感じずにはいられなかった。未だに、あの響きが頭から離れない。都響のマーラーが素晴らしいとは言え、こういうロンドン交響楽団独特のサウンドを聴かさられると、「やっぱすげぇな…」と息を呑むことしかできない。
終演後は大喝采。なんか、演奏後の指揮者ってカッコよく見えるよなー。容姿がどうであれ。あ、ゲルギエフ、別に容姿悪くないっすよ。落ち武者野武士みたいでワイルドでいいじゃないか!
出店していたタワーレコードもLSO Liveの『巨人』が大量に売れていたみたいだ(笑)。
ちなみに、今回のコンサートには皇太子閣下殿下様がおいでにならせられたもうておって、演奏者とは別に拍手をしなくちゃいけなかった。あんま珍しい事じゃないんだけど、おいらははじめてかな?あれ?どっかでもやったような気がするけど、どうだったかな?皇太子閣下殿下様は学生時代、学習院大学のオーケストラでヴィオラを弾いていたので造詣は深いはず。なんか、大変だな~、好きなコンサート行くのも大仰で。良い席は取れるかもしれないけど…。
もひとり、小泉元首相も来ていたみたい。一人でふらっと。隣に座られたらやだな…。多分気にしないけど(笑)。
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